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2019.02.12 政策研究

第11回 議会が無作為抽出型の住民協議会を主催する~岡山県新庄村~

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 こうして庁舎についての話合いが再び始まり、いろいろな意見が繰り出された。分散案を提示した住民が「職員の仕事のあり方についても議論があってよかった。各課を横断する場を設け、住民がそこに行けばすべて済むようにしたらどうか」と提案すると、別の住民から「仕事の中身を改善しないまま、分散やコンパクト化を進めてもうまくいかないと思う。まずは中身を変えていくべきで、その後に分散やコンパクト化の議論をすべきでは」といった意見や「仕事量が多い中で(役場庁舎を)分散したら、職員の負担が大きくなるのではないか」との指摘も出た。これに対し、「職員同士の連携は同じフロアにいた方がとりやすいが、うまくコミュニケーションがとれるならば、分散型がいいと思う」という意見が出たり、「若い職員は(住民に)早く名前と顔を覚えてもらった方がよいと思う」という助言も飛び出した。住民協議会は多様な意見が軽やかに交錯する、建設的な言論の場となっていたのである。

Jichinoninaite11_ph03意見を即座に整理して板書する伊藤さん。まさに住民協議会のプロ。

 住民同士の活発な議論に耳を傾けていたナビゲーターの福嶋さんが立ち上がり、自治に関わる本質的な話を切り出した。「職員の皆さんが忙しいのは、間違いないと思いますが、余分な仕事を結構しているのです。国や県からの補助金や交付金をもらうために書類をたくさん書いています。自治体にお金が直接、入ってくるようになれば、こうした余分な仕事はなくなります。(国や県から)調査ものの仕事もたくさん来ます。新庄村だけではどうにもできない部分がありますが、余分な仕事をなくすことを常に意識していく必要があると思います。まずは3つのことをやめる。1つ目は、国や県のいうとおりにやるのをやめる。2つ目は、前例どおりにやるのをやめる。3つ目は、横並びをやめる。職員一人ひとりが住民のため、地域のために何が必要か、どうしたらよいかを自分たちの頭で考えることです。自分の頭で考えている人たちが集まっているのが役場だと住民から見られたら、住民の方たちは役場にいろいろ相談にやってくることになると思います」。
 コーディネーターの伊藤さんが福嶋さんの指摘に鋭く呼応した。以前、研修で訪れたスウェーデンのある市役所の話を披露したのである。そこは民間のビルに間借りしている市役所で、自前の建物ではない。職員の勤務時間も住民が利用しやすい時間帯に設定されており、毎日、開庁しているわけではないが、住民の相談にしっかり対応しているという。つまり、立派な建物の市役所は存在しないが、市役所の機能は十分に果たしているというのである。おそらく、初めて聞く話だったのではないだろうか。誰もが仰天しながら伊藤さんの話に食いついていた。その表情からは「目から鱗(うろこ)」となっている様子がうかがえた。
 12時30分となり、2回目の「村づくり自分ごと化会議」はお開きとなった。参加者は配布されていた改善提案シートとアンケート用紙に記載し、家路に就いたのだった。次回3回目と4回目は、村議選終了後の5月以降に開かれる予定となっている。

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