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2019.02.12 議会運営

第42回 退職議員の記章(バッジ)は返してもらうべきか?

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回答へのアプローチ

 どの自治体議会にも議員記章はありますが、「その役割は何?」と尋ねられたら、はっきりと答えられる議会は少ないかもしれません。「その議会の議員であることを明らかにするため」といいたいところですが、独自の記章を定めているところばかりではありませんので、そうもいえません。都道府県議会はともかく、市議会、特に町村議会は、全国議長会(全国市議会議長会や全国町村議会議長会)から記章の頒布を受けている場合も多いものです。そうした議会では、「○○議会の議員であること」を記章から明らかにすることはできず、「市議会議員であること」や「町村議会議員であること」を明らかにするにすぎません。
申合せ、慣例、記章規程など根拠はいろいろですが、本会議場に入る際に記章を着用することを義務付けたり、公務に従事する際の着用を義務付けたりする議会があります。会議規則に記章の着用の義務付けの規定を置くところも見受けられます。

〇邑南町議会会議規則

(参集)
第1条 議員は、招集の当日開議定刻前に議場に議員記章を着章して参集し、その旨を議長に通告しなければならない。


 しかし、独自の記章でない場合には「○○議会の議員」であることを証明するツールとはなりません。「○○議会の議員」であることを証明するという意味では、身分証明書を発行したらどうかという議論があったり、現に記章のほかに身分証明書を発行している議会があるのは理屈のあることのように思われます。とすると、記章を着用することは「職務遂行に当たっての正装」といった意味があるのでしょう。
 こうしたことから回答案を見ていきましょう。Aの前段は誤りということになります。とはいっても、記章は議員であることの象徴であることも事実です。記章を自慢げに見せびらかすような議員は論外ですが、記章をぞんざいに扱う議員についても、住民は違和感を覚えるはずです。「自分たちの代表としての地位を軽く見ている」。そういった思いを抱くことでしょう。オークションに出品されている記章を見た住民もまた同じ気持ちになったかもしれません。ですから、回答としてはBではなくCとしたいと思います。

実務の輝き

 どのような形で記章が使われているにしても、その記章は議員の象徴ですから大切に扱わなければならないでしょう。まずは、記章について、規程などの何らかの文章を用意しておくのがよいでしょう。そして、次の点を明らかにしておきます。

 ① 貸与であること
 ② 再交付を求めるに当たり、その理由を議長に届け出ること
 ③ 職を退いたときには返却すべきこと

〇神奈川県議会議員記章規程

(貸与)
第3条 記章は、議員に貸与する。

(貸与等の禁止)
第4条 議員は、記章を他人に貸与し、又は譲渡してはならない。

(亡失し、又は損傷した場合の措置)
第5条 記章を亡失し、又は損傷したときは、速やかに神奈川県議会議長(以下「議長」という。)に申し出て、再交付を受けなければならない。
2 前項の規定により再交付を受けたときは、その実費を弁償しなければならない。

(返納)
第6条 辞職、死亡、任期満了等により議員の職を離れた場合は、記章を議長に返納しなければならない。


 その上で、退職時に返却をお願いしましょう。「武士の情け」など必要ありません。

提言

 今後返却を確実にするため、記章を貸与したときに、確かに貸与を受けた旨と退職時に返却する旨が書かれた覚書のようなものにサインしてもらうのはどうでしょう。
 全国議長会より頒布を受ける記章はお手頃な値段からありますが、独自につくる記章はどうしてもコストがかかります。しかし、返却を前提にすると、これまでほどは数をつくらずにすみますから、独自の記章に踏み切ることができるかもしれません。少し剥げてきても塗り直して使うなどすることも、議員の重みとしての象徴にふさわしいような気がします。
 できるなら身分を証明するものとして別に身分証明書を発行するのがよいように思います。失効後も議員の手元に残しておけるようにできれば、議員であったことの証明にもなります。記章は議員としての誇りと住民代表としての役割の重さを常に自戒するために着用するものなのかもしれません。

〇杉並区議会議員証、議員記章に関する規程

(議員証の発行)
第1条 議長は、議員の身分を証明するため、杉並区議会議員証(以下「議員証」という。)(別記様式)を発行する。
2~4 略

(議員記章の制定)
第2条 議員の品位を保持し、区民との親和をはかるため、議員記章(以下「記章」という。)を制定する。
2・3 略

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