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2018.12.25 議会運営

99回も議長選挙を繰り返した与那国町議会

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 ⑤ 町村議会では議長選挙でもめることはあるが、慣例や話し合いで決着をつけているのが普通である。事実、定数12人の京都府大山崎町議会では、2018年11月1日に開いた改選後初の臨時議会において、無記名投票で行われた議長選では、共産党のS議員と自民系会派の議員が6票ずつの同票となったため、くじ引きの結果、S議員が選出された(共産党議員の議長は全国的にも異例で、京都府内の町村議会では記録のある1975年以降では初めてだという)。10月21日の町長選では共産党が支持した新人のM氏が自民党など4党の推薦を得て再選を目指した現職のY氏を破って当選している。現職候補を推した町議が議席の半数の6人を占めている。採決に参加できない議長を出せば、「与野党」ともに少数派になるおそれがあり、議長選の動向が注目されていた。しかし、ここでは議長職を相手に押し付けようと議長選挙を繰り返してはいない。与那国町議会の場合は、慣例や話し合いでの決着が図れないほど「与野党」が対立した。もちろん、この間、事態収拾のために議員同士で協議が行われたが、なかなか妥協には至らなかった。

 ⑥ 議長を押し付け合う形で議長選挙を繰り返し、議会が審議に入れなかったため、町長は、10月12日、総額約6億8,000万円の一般会計補正予算案のうち防災行政無線のデジタル化など緊急性の高い約3億9,000万円を議会の承認を得ずに執行する専決処分にしている。議長を決められないことが町長の専決処分を許す結果をもたらした。専決処分は、仮に後日、議会の承認が得られなくとも、その法的効力に影響はないのである。
 与那国町議会が99回もの議長選挙を繰り返したことは、自治体議会史に「前代未聞の珍事」として記録されるだろう。そして、この顚末を学習した他の市町村議会は、今後、議長選挙─同数─くじ引き─辞退を繰り返すことなく議長を選出するだろう。かたくなな「与野党意識」が問題だからである。

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