2018.12.10 議会運営
第6回 対面式を導入、傍聴者との距離もぐっと近づいた新議場【岩手県宮古市議会】
自治体議会の「顔」ともいえる「議場」。そこには、自治体の歴史や理念が反映されています。『議員NAVI』では全国の自治体の議場を訪問し、自治体議会の「顔」をビジュアルでお伝えします。
第6回は10月に新庁舎に新設移転したばかりの岩手県宮古市議会を訪問しました。
議場全景。対面式になっており、左側が議員席、右側が執行部席。
両者の間には演台があり、正面には議長席がある。
執行部席から傍聴席を臨む。新議場では、傍聴席との距離がぐっと近くなった。
傍聴席の左右にモニターがあり、演台に立つ議員の姿が映るようになっている。
(写真撮影にあたり、取材班が演台の前に立たせていただきました)
各議席には、マイク、投票用の押しボタン等がある。
今後、会議規則を整備して、押しボタンによる電子採決に移行する予定。
秋の穏やかな日差しがさす委員会室。
新庁舎への移転を機に、これまでなかった会派室が設けられた。
―議場の特徴を教えてください。
議会と執行部とが対面する形式になっており、議員側から見て左手に議長席、右手に傍聴席があります。2011年の東日本大震災により、当時の庁舎も津波の被害を受けました。復興を進める中で、庁舎の新設移転が行われ、さる10月1日から供用を開始しました。新庁舎の設計にあたっては、各地の議場を見て回り、最近は対面式が主流であることを知り、そのようにしました。
議員側と執行部側との間にそれぞれの演台があり、一般質問の際は、最初の質問については質問者、答弁者がそれぞれ演台まで出てきて行います。再質問以降は自席で行います。
10月1日、新庁舎の開庁式典の日に、議員が席に座ったとき、執行部や傍聴席との距離がとても近くなったなあという声があがっていました。
また、旧庁舎では階段状の議席でしたが、新議場はフラットな構造にしており、バリアフリーの点でもより良くなりました。
そのほか、旧庁舎では会派の部屋がなかったのですが、今回、会派室が7室設けられました。また、図書室も、事務局内の本棚で対応していたのですが、専用の部屋が設置されました。
―議席の席順はどのように決められていますか?
今年5月の改選から、定数が22人となりました。新たな議場の議席は、横長に2列となっています。当選回数の少ない順に、前列の左から順に着席し、続いて後列の左から着席します。当選回数が同じ場合は、年齢の若い順に着席します。
―表決はどのような方法でとっていますか?
現在、表決は起立又は挙手で行っていますが、新しい議場では投票ボタンで表決ができる設備を導入し、電子採決に対応できるようになっています。会議規則の整備を行った上で、電子採決に移行する予定です。
―傍聴席との距離はどうですか?
傍聴席にはいす席が53席、車いす用のスペースが2席分あります。旧庁舎の議場では、議席と傍聴席のあるフロアが、6階・7階と2つに分かれていたのですが、新議場ではわずかに高い位置となり、議席と傍聴席との距離が非常に近くなりました。
―住民が傍聴しやすい工夫は何かされていますか?
傍聴席の斜め前にはモニターがあり、質問に立つ議員の演台での様子が映るようになっています。
また、耳の不自由な方のために、ヒアリングループというマイクの音声が床下の機械に伝わり、その機械が音声を磁気に変換して、傍聴者の持つ受信機に送られる仕組みを導入しました。この機械によって、マイクの音声を直接鮮明に聞き取ることができます。受信機では、音声の強弱のほかに、どの音域を強調するかも調整できるようになっています。
―通年議会を始めたそうですね。
市議会議員選挙後の、今年6月から、通年議会を導入しました。議員による議会改革の一環として、各地の自治体議会の例を参考に、導入を決めたものです。毎年5月に定例会を開会し、翌年4月までの約1年間の会期の中で6月、9月、12月、3月の4回、定例会議を開催します。常任委員会は約1年の会期中いつでも活動ができ、執行部から事業の説明を受けたり、現地視察を行ったりしています。また、各種団体と意見交換を行い、より多くの市民・団体の声を市政に反映できるよう取り組んでいます。
議会名:岩手県宮古市議会
定数:22名
議会HP:http://www.city.miyako.iwate.jp/gikai/gikai_top.html
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