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2018.10.25 議会運営

提案──自治体議員の宣誓

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首長等の宣誓

 知事・市町村長の場合はどうか。二元的代表制を前提とするならば、議会において首長として宣誓することが考えられるが、そうした例はほとんど聞かない。しかし、例がなくはない。拙著『自治体の長とそれを支える人びと』(第一法規、2016年)で紹介したことがあるが、北海道ニセコ町の「ニセコ町まちづくり基本条例」の26条に、「町長は、就任に当たっては、その地位が町民の信託によるものであることを深く認識し、日本国憲法により保障された地方自治権の一層の拡充とこの条例の理念の実現のため、公正かつ誠実に職務を執行することを宣誓しなければならない。2 前項の規定は、副町長及び教育長の就任について準用する」とある。
 片山健也町長は、2009(平成21)年11月の第7回ニセコ町議会臨時会において、次のような町長就任時の宣誓を行っている。
 


宣 誓

 私は、日本国憲法における「自治の本旨」並びにニセコ町まちづくり基本条例に貫かれた「住民自治」の理念に基づき、統治機構として、また、住民自治の機構としてある役場を、地方分権を推進する基礎自治体・地方政府として進化させ、「町民の皆さんが希望を持ち、安心して暮らしていけるニセコ町」を実現するため、「公正」に、そして「スピード感」と「思いやり」を持って、誠実に職務を遂行することを誓います。

 平成21年11月24日                    ニセコ町長 片山健也


 どこの知事・市町村長、副知事・副市町村長及び教育長も、それぞれ、議会において宣誓して、その職務と責任の重さを肝に銘じて職務を遂行すべきではないか。

自治体議員の宣誓

 それでは自治体議員の場合はどうか。議員宣誓を行っている議会があるとは寡聞にして知らない。そこで提案である。
 自治体議員の場合は、議員選挙で当選が確定すると、当選証書付与式が行われ、選挙管理委員長から「当選告知書」と「当選証書」が付与され「受領書」に署名押印することになっている。そして、この付与式のときに、議会事務局から、いわゆる「議員バッジ」(議員記章)が貸与される。付与式では首長からの祝辞もある。議員になったことを実感する、この付与式のときがチャンスである。この後、初議会への出席という議員としての初仕事が待っている。
 付与式で、当選議員を代表して1人の議員が宣誓書を読み上げ、全員が署名押印し、提出するのである。この議員宣誓の根拠規定を置くところは、議会基本条例でも議会議員政治倫理条例でも議会規則でもよいだろう。少なくとも、議員の責務に関連して、「私は、住民の代表として、高い倫理的義務が課せられていることを常に自覚し、議事機関としての議会に託された任務を全うすることを固く誓います」といった趣旨の文章を書き込むのはどうであろうか。
 議員として活動を始める前に、どういう心構えで議員としての活動を行うのかを肝に銘じて誓ってもらうのである。宣誓書に署名したからといって、議員にあるまじき振舞いに及ぶ議員が皆無になるわけではないにしても、宣誓した事実を自問自答する意義はあるといえよう。どこかの自治体で、議員宣誓を試みる議会が出てこないであろうか。

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