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2018.10.10 政策研究

第1回 なぜ自治体議会は計画の適正な決定をなし得ず、計画実行の適正な制御もなし得ないのか

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4 なぜ議会は計画の適正な決定と計画実行の適正な制御ができないのか②(計画の複雑性)

 政策には複雑性という特性があります。その複雑性は、総合性、相反性、主観性、動態性で構成されています。総合性とは、政策は課題を多面的にとらえ、必要な政策を組み合わせ、パッケージとして決定し実行しなければ効果が出ないということです。相反性とは、ある政策を実行した場合に反作用が生じるということです。大きな反作用が生じる場合には、その発生を抑える政策をパッケージで実行することが必要となります。主観性とは、人により考え方が異なるということです。地域の現状や課題についての認識が異なれば、決定し実行しようとする政策も異なることになります。動態性とは、決定し実行することが求められる政策の内容が、環境の変化、時間の推移とともに変わるということです。
 このような政策の特性を認識しなければ、政策集としての計画においては、位置付けられた個々の政策の複雑性が相互にさらに絡み合うことで、地域の課題をより解決の難しいものにしてしまうことが考えられます。このことを、ここでは「計画の複雑性」と呼ぶことにしましょう。
 計画には「計画の複雑性」があるため、議会は計画の適正な決定と計画実行の適正な制御ができない状況に陥るのです。

5 人間の限界を超克する可視化された議論とその必要条件

 そのため、3や4において見てきた「議会が計画の適正な決定と計画実行の適正な制御ができない状況に陥る」ことにつながる、「関係者の多様性」と「計画の複雑性」を超克しうる方策を考えることが必要となります。その方策の1つとして考えられるのは、「可視化された議論」の存在です。
 計画の決定に当たり議論がなければ、従来の政策をただホチキスで留めただけの名ばかりの計画ということになってしまいます。これでは、効果的・効率的な成果を発揮しうる計画とはなりえません。偶然にして効果的・効率的な成果を発揮しうるような計画が決定されたとしても、市民をはじめとする関係者の計画に対する認知度は低く、計画の内容に対する受容性も低い、実行されない計画となることでしょう。しっかりと議論できなくては、議会は「関係者の多様性」と「計画の複雑性」を超えることが難しくなります。
 「可視化された議論」には、分かりやすさと、必要な議論が漏れなく行われることが求められます。そして、このような議論をするためには、日頃からあらかじめ議論のポイントについて考え準備しておくことが必要となります。このような準備を経た「可視化された議論」を経験していくことで、議会は「議論のヒロバ」を形成するという自らの役割を改めて実感を伴いながら確認できるのではないでしょうか。

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