2018.09.25 議会運営
第61回 議場外の活動に対する懲罰等について
④の事項的限界とは、懲罰の対象となる事項は法129条・131条・132条・137条等に違反する言動や、標準市議会会議規則(以下「市会議規則」という)151条における品位の保持に反する言動、委員会条例に反する言動が対象となる。
ここで、事実上の決議である議員辞職勧告決議に従わないことをもって懲罰を科することは、行政実例昭和38年3月14日からできない。また、政治倫理条例は法134条1項の規定に反したこととならないため、懲罰に科することもできない。
市会議規則151条における品位の保持に反する言動は、あくまで本会議・委員会の開催時における言動に対する品位の保持を保てない場合に該当するものであるため、議会外での品位の保持が図られていないことをもって同条違反とすることはできない。
本問において考察すると、Facebookによる発信は事項的限界に反する言動に該当しない。
【法129条】
① 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。
② 議長は、議場が騒然として整理することが困難であると認めるときは、その日の会議を閉じ、又は中止することができる。
【法131条】
議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。
【法132条】
普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。
【法137条】
普通地方公共団体の議会の議員が正当な理由がなくて招集に応じないため、又は正当な理由がなくて会議に欠席したため、議長が、特に招状を発しても、なお故なく出席しない者は、議長において、議会の議決を経て、これに懲罰を科することができる。
【市会議規則151条】
議員は、議会の品位を重んじなければならない。
○「辞職勧告決議」に従わない場合の懲罰の可否(行政実例昭和38.3.14)
問1 地方自治法第100条に基づく特別委員会の調査により議員の議会外での非行が明らかにされた結果議会において「辞職勧告の決議」がなされた。本人より何等の意思表示がないので決議に従わないとして懲罰を科することができるか。
2 略
答1 できない。
以上より、本問における行動は②③④の事項に該当しないため、法134条における懲罰を科することができない。
代替措置としては、議会において事実上の問責決議や議員辞職勧告決議を議決することにより対処するほかない。