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2018.09.25 議会改革

第22回 評価による議会からの政策サイクルのバージョンアップ(下)

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(2)議会の活動記録としての『議会白書』:議会活動評価の起点
 議会・議員白書の刊行が、徐々にではあるが広がっている。議会白書の嚆矢(こうし)であり、その位置付けが明確な北海道福島町議会『議会白書』を参考に、その意義と課題を確認しておこう。同議会では、白書刊行を議会基本条例に規定している。

【福島町議会基本条例】
 (議会白書、議会・議員の評価)
第17条 議会は、町民に議会・議員の活動内容を周知し、情報を共有することにより、議会活動の活性化を図るため、しっかりと現状を把握し議会の基礎的な資料・情報、議会・議員の評価等を1年毎に調製し、議会白書として町民に公表する。
2 議会は、議会の活性化に終焉(えん)のないことを常に認識し、議会評価を1年ごとに適正に行い、評価の結果を町民に公表する。
3 議員は、複数の町民の代表者を擁する議会の一員をなしていることから、多様な議員活動の評価については、自己評価として1年ごとに町民に公表する。
4 議会白書、議会の評価、議員の評価に関する必要な事項は、福島町議会運営基準(平成13年議会基準第1号)で定める。

 議会白書の具体的な内容は「福島町議会の運営に関する基準」に定められている(4)。白書は125頁からなる(2017年度版、最初の刊行である2011年度版は200頁を超えていた(議会概要、条例・規則も含まれていた))。「まえがき」には議会白書、議会・議員評価にかかわる議会基本条例条文、議会の運営に関する基準が記載され、議会議員名簿の後に、「開かれた議会づくりの足どり」、「開かれた議会づくりの実践」(この中には「行動計画の実施状況」と今後の取組みも含まれている)から始まり、議会白書として本会議の審議、常任委員会等の活動、議会の活性度・公開度・報告度・住民参加度・民主度・監視度・専門度、事務局の充実度、適正な議会機能それぞれの実態が掲載されている。その他、資料も豊富である(5)
 議会白書は、議会改革への評価であるとともに、住民福祉の向上への評価を含んでいる。例えば、議会に対する賛成討論・反対討論が簡潔にまとめられているが、この中には、議員個人の公約への評価(自己評価)も掲載されている(議会基本条例17③)。
 したがって、議会白書は2つの領域と3つのタイムスパンのうち単に議会改革だけではなく、議員活動の実践も成果に含まれている。しかも、「白書」という言葉を意識して1年ごとを強調しているが、その白書を継続的に読めば通任期の評価となる。体系的な議会・議員白書である。
 こうした実践は広がっている(6)。北海道芽室町も充実した『芽室町議会白書』を刊行している。飯綱町議会の『飯綱町議会白書』では、目指す議会像を軸に検証を行っている。町長と切磋琢磨(せっさたくま)する議会、住民の声を行政に反映する議会、住民に開かれた議会、政策提言のできる議会、飯綱町の民主主義と住民自治発展の推進力となる議会からの検証である。外部評価の模索は、議会の自己評価が前提となることを再度確認しておこう。

(3)議会からの政策サイクルの評価の模索
 議会白書は、議会活動評価の素材として有用である。ただし、量的に膨大であり、住民が手軽に解読するにはよりコンパクトなものが必要である。概要版を活用するとよい。さらに、議会白書では、主要には議会運営の評価が行われる。住民福祉の向上をめぐる評価に進む必要がある。もちろん、議会白書の中にこの要素を挿入することも想定してよい。
 会津若松市議会『見て知って参加するための手引書――会津若松市議会白書 平成29年版』(以下『手引書』という)は、表5のような項目から構成されている。あくまでも住民が「見て知って参加する」ことを目的としており、議会からの政策サイクルの評価を主目的にしているわけではない。ただし、それを理論化・実践するための素材になる。

表5 会津若松市議会『見て知って参加するための手引書──会津若松市議会白書 平成29年版』の構成表5 会津若松市議会『見て知って参加するための手引書──会津若松市議会白書 平成29年版』の構成

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