2018.09.25 議会改革
第22回 評価による議会からの政策サイクルのバージョンアップ(下)
図2 議会基本条例による議会改革の本史の第2ステージの豊富化
4 もう一歩の先に:評価の模索
(1)議会からの政策サイクルの評価
議会からの政策サイクルを評価するための要素を再確認しておこう。キーとなる要素は、目標設定とタイムスパンである。目標設定には対象と公開の仕方(明確化)が、またタイムスパンには通年(年度、1年)、通任期(4年)、定例会ごとがある。そして、議会からの政策サイクルにおける評価主体も重要な要素である。
① 目標設定の対象
議会改革の本史の第1ステージと第2ステージからすれば、目標設定は、第1ステージでは議会基本条例の条文、第2ステージではそれ(議会運営)とともに、住民福祉の向上に関する目標設定が必要である。後者は、アウトプット(議会からの政策サイクルによる生産物(政策):政策提言・監視をしたか)とアウトカム(住民福祉の向上に役立ったか)からの政策と、議会からの政策サイクル(システムの構築と実践)に対する目標設定である。
② 目標設定の明確化
目標設定の対象ともかかわるが、その明確化が重要である。評価を自己目的としないためには、明確化が不可欠である(表4参照)。
議会運営の評価に当たって、その評価基準は議会基本条例の条文を活用するとよい。住民福祉の向上の領域では、政策と政策サイクルという2つの位相を念頭に、明確化を考えたい。政策では、アウトプット視点から、条例という政策と、それ以外の政策(財政(決算・予算)、その他の提言等)に区分できる。前者は明確化が可能だ。それに対して後者は、財政(決算・予算)はルーティンで行っているとはいえ、その際の力点(特別の目標設定)を審議の前に設定し公開することが必要である。また、それ以外の提言等の目標設定はそのつど(3つのタイムスパン)明確化すればよいだろう。その成果を実現するために提言、意見書、報告書にするか条例にするかは、議論の中で確認することになる。
なお、議会からの政策サイクルの位相を明示することは可能である。これは、議会運営の明確化とともに、住民がどうかかわるかの「手引き」でもある(詳細は後述)。