2018.09.10 政策研究
第24回【最終回】 地方財政用語集②
5 財政と議会
① 予算の決定
予算は議会に提出され審議される。予算の提案権を有するのは首長のみであり、議員にはない。首長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならないとされ、都道府県及び指定都市は30日前、その他の市及び町村では20日前までに議会に提出しなければならない。また、首長は議会に予算を提出するときは、予算に関する説明書を併せて提出しなければいけない。
予算が議会に提出されると、議長は本会議に上程する。当初予算を審議する際には、特別委員会が設置され、そこで集中的に審議されることが多い。補正予算については、当初予算同様に予算特別委員会が設置されることもあるが、常任委員会で審議されることもある。
② 予算の増額修正権
予算の提案権を有するのは首長のみであり議員にはないが、地方自治法97条2項は、議会による予算の増額修正ができることを明記している。しかし、増額修正には一定の制約があり、首長の予算の提案権を侵すことはできないとされている。
③ 決算の認定
会計管理者は決算を調製し、出納閉鎖後3か月以内に首長に提出する。首長は決算書類に監査委員の意見を付けて、次の通常予算を審議する議会までに、議会の認定に付さなければならない。なお、決算が議会に認定されなくても、すでに行われた収入・支出等の効力には影響を及ぼさない。
④ 予算特別委員会・決算特別委員会
特別委員会は、必要に応じそのつど設置する委員会を指す。委員会条例に特別委員会の設置規定を置き、その規定に基づき議会の議決で個々の特別委員会を設置する。すべての行政の事務はいずれかの常任委員会に属するので、特別委員会を設置する場合は、その事務については常任委員会の所管から移譲される。
特別委員会の中でも、予算特別委員会・決算特別委員会は、定例的に設置される。これは、新年度予算や決算については、広く行政全般について審議されるため、議長を除く全議員で構成される議会が多くなっていることによる。
なお特別委員会は、(ⅰ)付議事件の審査又は調査終了、(ⅱ)付議事件の消滅、(ⅲ)会期の終了、(ⅳ)議員の任期満了、(ⅴ)議会の解散、(ⅵ)特別委員会の廃止議決、により消滅する。
⑤ 再議
再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度。首長の拒否権ともいわれる。この制度は、議会と長との間に対立が生じたときに、首長の側からこれを調整する手段として認められているものであり、二元代表制における特徴的な制度となっている。一般的拒否権と特別的拒否権の2つに区分できる。
6 財政と経済
① 月例経済報告
内閣府が公表する、景気についての公式な見解を示した報告書。基調判断として、景気の全体的な状況を表すほか、個人消費、設備投資、海外経済等の動向などに言及し、その時点での国の景気に対する見解が分かる。
② 日銀短観
正式名称は「全国企業短期経済観測調査」。統計法に基づき、日本銀行が行う統計調査で、全国の企業動向を把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としている。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施している。
③ 債券
債券とは、国、地方自治体、企業などが、投資家から資金を調達することを目的として発行する証券(借金証書)のこと。あらかじめ支払う金利や満期日が定められており、債券に投資した投資家は定期的に金利を受け取ることができ、満期になると元本が償還される。
④ 債券市場
債券市場とは、債券の取引が行われる市場のこと。ただし、売り手(債券の発行機関や投資家)と買い手(投資家)が1か所に集まって売買を行うのではなく、電話やインターネットなどを通じて売買の価格交渉が行われる。なお、債券市場には発行市場(プライマリー市場)と流通市場(セカンダリー市場)がある。
⑤ 金利
金利とは、資金を一定期間、貸借するために必要な料金を、貸借した額に対する割合で示したもの。