2018.09.10 政策研究
第24回【最終回】 地方財政用語集②
1 予算原則
① 総計予算主義の原則
総計予算主義の原則とは、一会計年度における一切の収入及び支出を、すべて歳入歳出予算に計上しなければならないとする原則。地方自治法210条には、「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない」とあり、総計予算主義が規定されている。
② 単一予算主義の原則
単一予算主義の原則とは、予算は単一の見積表にすべての歳入歳出を包含させ、かつ予算の調製は一会計年度1回を適当とする原則のこと。これは、自治体の財政全般についての見通しを可能にし、統一的・計画的な財政運営を行うために設けられている原則で、これにのっとり、毎年度開始前に一会計年度を通じて定められる当初予算を自治体は調製することになる。
③ 予算統一の原則
予算統一の原則とは、予算が誰にでも分かりやすいものとするため、歳入・歳出の分類を統一的、系統的に調製することをいう。具体的には、この原則に従い、款・項・目・節の予算科目及びその様式が決められるとともに、予算書、予算説明書の様式が定められている。
④ 予算事前議決の原則
予算事前議決の原則とは、当該年度開始前までに、議会の議決を得なければならない原則のこと。予算は自治体の経費の見積りなので、その年度が始まる前に住民の代表である議会の事前関与として議決を経ておくことが必要であるという原則。地方自治法221条にこの原則を規定しており、都道府県及び政令指定都市は30日前、その他の市及び町村は20日前までに予算を議会に提出し、議決を受けるものとされている。
⑤ 会計年度独立の原則
会計年度独立の原則とは、各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければならないとする原則。言い換えれば、当該年度に支出すべき経費に、他の年度の収入を充てないということ。
⑥ 予算単年度主義の原則
予算単年度主義の原則とは、予算は会計年度ごとに作成し、議会の議決を受けること、また一会計年度の予算はその年度内に執行・完結し、翌年度以降の予算を拘束しないという原則。
⑦ 予算公開の原則
予算公開の原則とは、予算は広く一般に公開しなければならないという原則。税金がどのような使い方をされているのか、どのような住民サービスを提供するのかは、予算によって実現される。このため、予算を広く一般に公開し、住民が知る機会を設けることが必要となる。
2 歳入関係
① 通常予算
一会計年度を通じて定められる基本的予算のことで、本予算、当初予算ともいう。
② 補正予算
予算の調製後に生じた事由に基づき、既定の予算に追加その他の変更を加える必要が生じたときに調製する予算のこと。
③ 暫定予算
通常予算が年度開始前までに何らかの事由により成立しない場合等に調製する予算のこと。一会計年度中の一定期間について最小限度必要とされる経費の支出を可能とする予算。
④ 予算査定
各部局から提出された要求額を、長の方針や財政の状況、効率的な行財政の運営等の見地等から、一定の方針に基づき整理し、予算に組み込むか組み込まないかを決定する行為のこと。
⑤ 枠配分予算編成
一会計年度に見込まれる一般財源の予算枠をあらかじめ各部局に配分し、各部局がその範囲内で予算を編成する方式のこと。
⑥ 市民参加型予算編成
予算編成の段階から住民の意見を取り入れようとする方式。