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2018.08.27 議会改革

第5回:最終回 議会起点の三者間討議(対話)の活性化策(下)

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6 意思決定する会議は、あくまでもロバート議事法に基づく

 議会が広く意見を聴くために、あるいは議員同士でアイデアを練るために、ワークショップやワールドカフェは有効な手法です。しかし、ダイアローグ(対話)による方式で決定した内容を議会での正式な意思決定事項にする場合には、改めて会議規則等による会議手順を経る必要があります。正式決定の際に意見が分かれることも想定しておくことが必要です。
 互いに主張を譲らない姿勢は、もはや議論の体をなしておらず、無為に時間が経過するばかりです。対極にある議論であっても互いに譲歩し合い、着地点を見いだすという政治的な判断も必要です。
 自治体議会の審議においては、ロバート議事法による会議手法だけでは、もはや限界があると筆者は考えています。もっと臨機応変に討議を展開する必要があるのではないでしょうか。審議とは本来、異なる議論を交わし、調整を踏まえて着地点を見いだしていくプロセスです。そして、意思決定は、意見調整を行い、折り合いをつけて着地点に落としていくものですが、当初の主張を曲げることを「優柔不断」で「信念がない」と揶揄(やゆ)されることをおそれ、譲歩しないケースも議会の場では時に見受けられます。議論を尽くしたのであれば、最終的にロバート議事法に基づく採決による決定が民主主義に基づくものであると胸を張ってよいのではないでしょうか。

7 政策議会への突破口〜討議力の向上にかかっている

 当研究会が定義する「政策議会」とは、「自治体の政策活動に向き合う力量を備えた議会」をいい、「市民の意思を自治体政策に反映させることをめぐり、市民と議会の日常的な交流を深めることを基本として議員間討議を進め、議会としての政策意思を確立し、首長が進める政策をチェックしながら、積極的に政策提案する議会像」を指します。
 議会改革に取り組んだ成果や実績が市民から高い評価を得るまでには、相当な時間を要します。その理由は、市民側の生活課題と議会の政策課題がマッチしていなかったり、政策課題を発見しても議会側の調査や討議が不足していたり、政策化する力量が不足していたり、議会側で政策実現にたどり着いても市民に明確に伝わっていなかったりなどで、結果、議会の存在感が希薄なものにとどまっているからではないでしょうか。
 市民の要望に基づく政策課題やその解決策について、議会が議員間の討議を経ても「論点化・争点化」する作業を怠り、長をはじめ執行機関に対する政策提言等のアプローチを試みることもなければ、市民に対して議会活動を明確に伝えることは難しいでしょう。政策議会への到達など夢のまた夢であり、4年間の議員生活も瞬く間に終えてしまうでしょう。
 議会改革の第2ステージは、まさしく政策議会への突入ですが、その根幹は議会を「市民のヒロバ」、「討議のヒロバ」に転換し、議会が討議の場・機会をつくり、政策をめぐり討議技術を駆使しながら政策提言化し、実行化に切り込むことです。この領域に到達した議会こそが、議会改革の第2ステージに駆け上がり、市民に信頼される真の先駆議会と呼ぶにふさわしい存在になるといえるでしょう。こうしたダイナミックな議会改革の展開をぜひ期待したいものです。

図9 当研究会の研究相関図図9 当研究会の研究相関図

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