2018.08.10 政策研究
第23回 地方財政用語集①
4 基金関係
① 特定目的基金
特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立てる基金のこと。特定の目的の経費に充てられる財源を確保するために設けられるもので、施設の建設資金を確保するための積立金や地方債の償還のための積立金などが該当する。
これらの基金については、その運用から生じる収益のほか、その設置目的のために、元本に当たる資金又は財産を処分して使用することができるが、当該目的のためでなければ処分することができない。基金を廃止する場合、基金条例を廃止した上で、処分することができる。
② 定額運用基金
特定の目的のために定額の資金を運用するための基金のこと。特定の事務又は事業の運営の手段として設けられたもので、物品の集中購買のための基金、資金の貸付けのための基金等が該当する。
③ 財政調整基金
年度間の財源の不均衡を調整するための積立金で、財政調整積立金ともいう。不況等による大幅な収入減や、災害の発生等によるやむを得ない支出の増加など、予期しない事態に備え、また長期的視点に立った計画的な財政運営を行うために、余裕財源は翌年度以降における財政の健全な運営に資するために積み立て、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充て、又は償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てなければならないとされている。
また、地方財政法に基づいて設置される基金ではあるが、設置には条例が必要であり、運用は、金融機関への預金や国債、地方債等の証券の買入れ等の確実な方法によらなくてはならない。さらに、運用益はすべて基金に繰り入れなければならない。
5 地方債関係
① 適債事業
自治体の歳出は、原則として地方債以外の歳入をもって、その財源としなければならないとされており、地方債を起こすことができる経費は法令で定められている。この地方債を起こすことができる事業を、適債事業といい、地方財政法5条によるものと、特例措置として法律で定められているものの2つに区分することができる。
② 公的資金
公的資金とは、「財政融資資金」、「地方公共団体金融機構資金」、「国、独立行政法人又は特殊法人が、法令の規定に基づき、特定の事業を行う地方公共団体に対し貸し付ける資金」のことをいう。
③ 民間等資金
「市場公募資金」と「銀行等引受資金」のこと。
④ 市場公募地方債
起債市場で公募する地方債のこと。
⑤ 住民参加型市場公募地方債
市場公募地方債の1つ。購入者を発行団体に居住する個人等に限定するなど、住民に対して施策のPR等を目的に発行される地方債。
6 予算
予算とは、一会計年度における歳入及び歳出の見積りのことで、①歳入歳出予算、②継続費、③繰越明許費、④債務負担行為、⑤地方債、⑥一時借入金、⑦歳出予算の各項の経費の金額の流用で構成される。
① 歳入歳出予算
一会計年度における一切の収支の見積りのこと。
② 継続費
2年度以上にわたって支出をする必要がある場合、あらかじめその経費の総額と年度ごとの額を事業ごとに定めておくもの。
③ 繰越明許費
歳出予算の経費のうち、その性質上又は予算成立後の事由に基づき、年度内にその支出が終わらない見込みのあるものについて、議会の議決を得て翌年度に繰り越して使用できるようにする予算のこと。
④ 債務負担行為
歳出予算の金額、継続費の総額又は繰越明許費の金額の範囲内におけるものを除くほか、自治体が債務を負担する行為につき、予算でその行為の内容を定めておくこと。
⑤ 地方債
1④参照。
⑥ 一時借入金
一会計年度内において、歳計現金が不足した場合に、その支払資金の不足を補うために借り入れる金銭のこと。
⑦ 歳出予算の各項の経費の金額の流用
歳出予算は、原則として、各款の間又は各項の間では相互に流用することはできない。このため、予想される流用対象の項をあらかじめ予算で定めることによって、各項間の流用を認めようとするもの。