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2018.08.10 議会運営

第39回 公文書管理にもっと光を!─議会のチカラで行政の文化を変える─

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実務の輝き

 一般質問で執行部が一番恐れているのはどのようなものでしょうか。それは「素人の素朴なギモン」です。行政は、実際、素朴な「なぜ」に対応するのが苦手です。スポーツに例えるならば、プロのテニスプレーヤーがアマチュアプレーヤーに苦戦するようなものです。プロにとって、素人は予測不能。行政が日々当たり前のように行っていることについて、改めて聞かれると、「……」。私は、議員の皆さんには、この行政に対する素朴なギモンを失っていただきたくないと考えています。
 「なぜ」。
 そうすると、行政は議員の「素朴ななぜ」に対応するため、日常的に「なぜ」と自問自答し、さらには「なぜ」を記録に残すようになるはずです。
 これが、行政の説明責任の全う、事務の効率化に寄与するはずなのです。この説明責任、事務効率化は、実は今日、国会で議論になっている公文書管理問題につながっています。
 その意味で今回は、行政の根幹部分でありながら、日常業務の中では埋没してしまっている公文書管理問題について、一般質問することをお勧めしたいのです。
 行政職員は、毎日、公文書を作成しています。ただ、繰り返しになりますが、日常業務に忙殺されてしまっており、公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」といいます)が2009年に制定、2011年に施行された後においても公文書問題に真っ正面から取り組んだ自治体は少数だといわれています。2017年10月1日現在、公文書管理条例を制定しているのは、21の自治体にとどまっています。
 公文書管理問題は今、国で議論され、マスコミにも多く取り上げられているところ。この局面で一般質問がなされれば、公文書管理の政策的優先順位が上がり、公文書管理政策が良い方向に展開される可能性があると思うのです。
 やや強引に公文書管理問題に持ち込んだ感は否めませんが、この問題は政治家たる議員から問題提起されない限り、政策的優先順位は上がりづらいものなのです。
 それは、財政状況の厳しい今日において、直接かつ直ちに市民サービスの向上につながるものではないことが理由のひとつです。あくまでも行政内部の問題と考えられているのです。
 さてさて、公文書管理について一般質問するに当たり、公文書管理法の条文のうち、とりわけ関係の深いものを押さえておきましょう。

 (目的)
第一条 この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

 

第四条 行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
 一 法令の制定又は改廃及びその経緯
 二 前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
 三 複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
 四 個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
 五 職員の人事に関する事項

 

 (地方公共団体の文書管理)
第三十四条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。

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