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2018.07.25 議会改革

第21回 評価による議会からの政策サイクルのバージョンアップ(上)

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(2)3つのタイムスパン
 議会からの政策サイクルには2つの領域(議会運営と住民福祉の向上)があることを確認してきた。その際、それぞれの領域で、タイムスパンを意識することが不可欠である。要するに、評価に当たっては目標設定が不可欠であり、それには期間が伴う。何をいつまでに実現するか、ということである。これらはマニフェストサイクルと連動する。
 2つの領域ごとに、通任期(4年)、通年(年度、1年)での評価だけではなく、定例会ごとの評価も必要である(3つのタイムスパン)。議会・議員評価は2つの領域と3つのタイムスパンに分類される(表1)。通任期の評価は、次期議会への連続性を内包している。

表1 議会・議員評価の2つの領域と3つのタイムスパンの評価項目(基本項目と例示)と主体表1 議会・議員評価の2つの領域と3つのタイムスパンの評価項目(基本項目と例示)と主体

2 住民福祉の向上の領域における評価の2つの位相:政策とサイクル

 ここまで論じてきたように、住民福祉の向上というミッションからすれば、議会・議員の自己満足ではなく、そのミッションが実現できているかを問うこと、いわば評価が不可欠である。もちろん、議会基本条例に刻み込まれた議会運営(2つの領域の1つ:議会運営、表2参照:第1ステージの評価)の評価が前提となり、それらは議会基本条例の条文や理念に即した評価となる。
 その上で、議会からの政策サイクルの評価を問うことになる(2つの領域の1つ:住民福祉の向上、表2参照:第2ステージの評価)。このことは、そのサイクルのバージョンアップにも役立つ。住民福祉の向上の領域では、政策自体と政策サイクル自体といった2つの位相からの評価が不可欠である。「第2ステージⅠ」の段階の評価の確認である(表2参照)。
 ① 政策の評価の位相。政策サイクルによって生産した政策(政策提言・監視)を評価する。つまり、目標設定した政策を議会は打ち出せたかを問うアウトプット(出力)視点の評価がまずもって必要である。とはいえ、それはあくまで生産であって「住民福祉の向上」に効果があったかは別問題である。この政策の効果を問うのがアウトカム(成果)視点の評価である。議会からの政策サイクルから産出された政策については、2つの評価(アウトプットとアウトカム)を行う。
 ② 政策サイクルの評価の位相。善き生産物(政策)を生み出すためのプロセス(政策サイクル)の構築と改善が重要である。いわば、議会からの政策サイクルそのものの評価である。
 このような問題意識の下で、住民福祉の向上の領域を評価する。政策の評価の位相では、まずもって、目標設定に基づいて生産物(政策)がつくり出されたかが問われる。この評価は容易である。政策の有無とかかわるからである。それに対して、その政策が住民福祉の向上につながったかを問うことは困難である。また、政策サイクルの評価の位相では、議会基本条例に規定された新たな議会運営の作動の評価という点では、新たな議会運営の領域と重なる。議会基本条例が共時的(断面)だとすれば、この政策サイクルは通時的(過程)である。それぞれの議会は、議会基本条例・会議規則等に規定された議会運営を行っているが、善き政策を産出するためには、善き政策サイクルが不可欠であることを重視するために、政策サイクルの評価の位相を強調している。

表2 議会に関する評価の範囲(議会改革の本史の3つのステージを中心に)表2 議会に関する評価の範囲(議会改革の本史の3つのステージを中心に)

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