2018.07.25 なり手不足
第7回 住民自治の裾野を広げねば、議員のなり手不足は解消しない~飯綱町と佐久市~
【インタビュー2】
「真選組」の飯島雅則代表に聞く
5年前に長野県佐久市で地域政治塾を開設した飯島雅則さんに話をうかがった。市職員OBの飯島さんは、2013年4月の佐久市議選で初当選し、議員となった。その1年後に地元で真剣に選挙を考えるための政治塾「真選組」を結成し、これまで政治と無縁だった地域住民らと勉強会を始めた。無党派無会派で議員活動を続けた飯島さんは1期4年で議員を引退し(2017年4月)、塾生にバトンを渡す形となった。8月から「真選組」の2期目をスタートさせる予定という。
──新人議員が1人で政治塾を開くというのは、きわめて珍しいことです。なぜ始めたのですか。
自分が目立つためだとか、いろいろな陰口や批判をされましたが、自分の仲間を議員にするために始めたものではありません。政治にもっと関わりたいと思いながら、どうしたらよいか分からないという方たちのために、真選組をつくりました。市の職員だった私も選挙に関わったのは立候補したときが初めてで、全くの手探りでやりました。でも、職員時代から意欲と力のある一般の方たちがもっと議員になるべきだと思っていました。ですから、勉強したいという方はどなたも歓迎いたしました。
──入塾試験や入会金は?
そういうものはありません。真選組に参加したからといって箔(はく)がつくものでもないし、選挙で有名人が応援に来てくれるわけでもありません。ただ最初の頃は、勉強会への参加費として1,000円いただいていました。それも3回目までで、その後は無料です。
──第1期(2014年4月から2016年11月まで)の真選組は勉強会を2か月に1回のペースで開いており、計15回です。参加者は延べ316人なので、平均すると1回に20人ほど参加したことになります(参加者は佐久市のみならず、上田市や長野市、小諸市、佐久穂町などから)。費用面で大変だったのではないでしょうか。
そんなことはありません。ほとんどが手弁当ですので、お金がかかるのは会場費ぐらいです。それも3,000円から4,000円で済みます。事務局は私が1人でやり、配布する資料も自作。2、3人の中心メンバーがいろいろと手伝ってくれました。友人知人に勉強会の講師役などをお願いし、謝礼は交通費程度です。勉強会をやるのにお金はかかりません。
──勉強会の内容を見ますと、講義よりもディスカッションやスピーチ実演など実践的なものが中心ですね。
初回は「自分が議員になったら何をしたいか」についてのディスカッションで、予算書の読み方や選挙費用の説明、議会傍聴ツアーも行いました。講師も現役の兼業議員やIT関連会社社長、芸能プロダクション社長など多彩です。落選した議員にも講師を依頼しています。真選組に参加した70歳の方が2015年の諏訪市議選で初当選しまして、その方にも講師に来てもらいました。
──すでに真選組の参加者から地方議員が生まれているのですね。
そうです。これまで6人が立候補しまして、4人が当選しました。このうち3人が完全な無所属で、組織の支援なしでした。
──真選組を結成したかいがありましたね。
いや、そうでもないのです。地元の佐久市議選(2017年4月)に3人が立候補したのですが、当選したのは1人のみ。私がショックだったのは、真選組の活動に当初から積極的に関わっていた方が落選してしまったことです。それがとても残念で、残念で……。3人とも外から佐久に移り住んできた方たちで、真選組に参加していたことであれこれ言われてしまったようです。それで私も応援することができませんでした。そんなこともありまして、2期目の真選組をどうすべきか悩み迷うことになってしまいました。ですが、いろいろな方から「真選組の2期目を早く開いてほしい」という声が寄せられまして、8月から再開することを決断しました。