2018.07.25 なり手不足
第7回 住民自治の裾野を広げねば、議員のなり手不足は解消しない~飯綱町と佐久市~
【インタビュー1】
瀧野良枝・飯綱町議に聞く
議会だよりモニターと政策サポーターを経験し、2017年10月に飯綱町議となった瀧野良枝さんに話をうかがった。飯綱町議会最年少(43歳)の子育て中の女性議員で、しかも町外の出身。飯綱町に誕生した全く新しいタイプの瀧野・町議に住民の期待が寄せられている。
──議会と関わるようになったきっかけは?
私は山ノ内町の出身で、結婚して飯綱町の住民になりました。主人の父が議会だよりモニターを8年間やっていまして、その後をやらないかと近所に住む議員さんからお声がかかったのです。それまで行政のことには全く関心がありませんでした。フリーランスで仕事をしていましたし、子どももいました。忙しくて大変でしたが、議会だよりモニターを2年やりましたら、今度は議会の政策サポーターにならないかと勧められたのです。それで、子育て世代の代表みたいな形で加わりました。
──第2次(2013年度から2014年度)の政策サポーターですね。
そうです。実際に子育てしていない議員さんの前では、発言しやすかったです。自分の思ったこと、好きなことを存分にお話ししました。子育て世代はとても忙しいので、そうした皆さんの声を代弁しなければと思い、いろいろ話を聞いて回りました。(政策サポーター会議などで)私の発言を前向きに受け止めてもらえるので、とても責任を感じました。特に寺島議長(当時)さんの(人の)話をキャッチする姿勢がすごくて、やりがいを感じました。
──議会だよりモニターと政策サポーターの両方を経験していたのですね。昨年(2017年)秋の町議選に立候補しましたが、順当な流れでそうなったのでしょうか。
そうではありません。(実家の)親戚に県議さんなどがいましたが、私にとって政治は遠い存在でした。選挙の2か月前にお話をいただいたのですが、家族からも大反対されました。
──それはご主人ですか?
いいえ、違います。主人は私が外で働くことにも賛成してくれましたし、何しろ飯綱町をこよなく愛する人間です。私が議員になることで地元の役に立てるのならばと、背中を押してくれました。反対する家族を説得してくれたのです。実際の選挙でも感じたのですが、世代間のギャップは大きいと思います。
──1人の候補者だけが落ちる選挙で787票を獲得し、トップ当選しました。実際に議員になってみて違いはどうですか。
議員になる前は自分が思ったことを自由に話せばよかったのですが、議員になってみて(行政の取組みには)いろいろなことが関わっていることがわかりました。(議員になる前は)声の大きさに反応していましたが、そうではないことが分かりました。公平性や小さな声にもしっかり耳を傾けることが大事で、バランスが重要です。
──新人の女性議員。しかも最年少です。大変ではないですか。
いじめられているのではないかと、心配する人もいましたが、そんなことは一切ありません。私が議員になったことで、同世代の人たちが私を通して行政や議会を見ているように感じます。私もSNSを使って情報発信していまして、(若い方々に)関心を持っていただけていると思います。
──お子さんは現在、3人と聞きました。
そうです。10歳と8歳、それに4歳です。保育園の送り迎えなど全て自分でやっています。子育てと議員活動をともに全力でやる議員が次々に出てくるようになればと思います。そして、そうした道を切り開くのが、ファースト・ムーバーである私の役割ではないかと。
──新人議員が5人いて、全体の3分の1です。
飯綱町議会では議員同士が互いをライバル視せず、切磋琢磨(せっさたくま)しています。議員全体で町民に向かい合う姿勢になっています。また、議会が新人議員を対象とした研修会を開いておりまして、私たちも4回受けました。寺島・前議長と清水滿・議長、それに髙橋吉人・議会事務局長さんらが講師を務めました。新人議員5人はそれぞれ得意な分野を持っていますので、その後も新人議員だけで勉強会を開いています。議員は、細かい民意をきちんと受け止めることと町として大局的に見ることのバランスをとることが大事だと思います。自分たちの子どもたちがしっかり育っていく町をつくることが、議員の役割です。それをモチベーションにして議員活動を続けていきたいと思います。