2018.07.25 なり手不足
第7回 住民自治の裾野を広げねば、議員のなり手不足は解消しない~飯綱町と佐久市~
議会力を高め、議員のなり手も育成する“政策サポーター制度”の効用
「昨年10月の町議選に議会だよりモニターと政策サポーターの経験者5人が立候補し、全員が当選しました。このうち4人は新人です。皆、議会や行政のことをよく知っている人で、即戦力です。(2つの取組みは)新しい議員のなり手を育てる効果もあったと思います」
飯綱町の寺島・前議長は、2017年10月の飯綱町議会議員選挙をこう振り返った。実は、このときの飯綱町議選は無投票になるおそれもあった。もともと定数15に対し、任期途中に2人の議員が急死したため、欠員2。さらに寺島さんら3人の議員が引退を表明し、議席の空きは5つ。選挙の実施すら危ぶまれる状況になっていたのである。結果は16人が立候補して選挙戦となり、新人5人が新たに議員となった。トップ当選したのは、議会だよりモニターと政策サポーターの両方を経験した40代の女性で、町外の出身者だった(インタビュー記事を参照)。
3分の1が新人議員となった飯綱町議会だが、平均年齢は62.9歳(2018年4月1日現在)と高く、70歳代が8人に上る。寺島議長時代にずっと副議長を務め、女房役として議会改革をともに推し進めてきた清水滿・議長は「新人議員は皆、とても優秀です。若い、新しい人にどんどん出てほしい」と、語る。そして、今年度に第4次の政策サポーター会議を開くため、その準備に当たっているという。テーマは「日本一住みたいまちづくり─20年後の為に今なすべきこと」と「魅力ある農業再生を目指して」で、政策サポーター志願者を公募中。締切りは8月17日だ。
地域政策塾を開講し、住民自治の担い手を育む
1月27日の午後のことだ。飯綱町の町民会館に大勢の住民が詰めかけた。総勢70人ほどで、誰もが真剣な表情をしており、期待に胸躍らせているようにも見えた。飯綱町の寺島・前議長が、地域の人たちに呼びかけて結成した「地域政策塾21」の第1回目の勉強会である。ちなみに参加費は資料代500円のみ。
地域政策塾21は住民自治を支える人材を育て、議員のなり手を発掘して育成することも意図している。その旗揚げとなったこの日、会場内は熱気に満ちあふれていた。勉強会は寺島代表の挨拶で始まり、その後、地方自治総合研究所の坂本誠・客員研究員が基調講演を行った。さらに木島平村の江田宏子・村議や小布施町の関悦子・町議会議長らによる事例報告がなされ、会場との質疑応答が活発に展開された。会は3時間ほどで終了となったが、参加者の発言に耳を傾けていた寺島さんは「“この人は議員にいいな”と思う人が何人もいました」と、ほほ笑むのだった。議員引退後に1人の住民として始めた地域政策塾に、確かな手応えを感じたのである。
地域政策塾21の第2回目の勉強会は、講師として関西学院大学の松藤保孝教授を招き、7月29日に開かれる予定だ。寺島さんは「住民自治の裾野を広げていく取組みが何より大事だと思います。そうした地道な努力が議員のなり手を増やすことにつながっていくはずだと、私は確信しています。次の飯綱町議選(2021年)に地域政策塾から候補者が7人ぐらい出たらよいなと思います」と、語る。