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2018.07.10 政策研究

第22回 総合計画と行政評価

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1 総合計画

(1)総合計画とは
 自治体が計画的に行政を進めていくため、総合計画を策定するのが一般的である。その構造として、おおむね基本構想、基本計画、実施計画の三層となっている。
 基本構想はおおむね10年から20年先にわたって実現すべきビジョンや政策大綱で構成され、基本計画は5~10年を実現目標の期間として、基本構想を実現するための基本的な政策となっている。実施計画は3~5年にわたって実施されるべき政策が明示される。実施計画では、ローリングシステムが採用されることも多く、毎年、実施状況や予算等を勘案し、計画内容を変更していく。
 かつて基本構想の策定は義務であったが、平成23年の地方自治法の改正に伴い撤廃された。このため、基本構想を策定するか否かの判断は自治体がするとともに、基本構想を議会で議決するかどうかも自治体の判断の対象となっている。しかし、実態として多くの自治体では、この計画体系が残されている。

(2)総合計画と財政の関係
 総合計画は、上位計画ほど内容は抽象的で、下位計画ほど具体的となる。例えば、基本構想で「緑にあふれたまちづくり」が大綱のひとつとすれば、基本計画では今後10年における公園の整備方針(平成32年度にはA地区で1か所、平成33年度にはB地区で1か所など)を示す。そして、毎年度作成する実施計画では、基本計画の内容を基本的に踏襲するが、社会状況や財政状況により、その計画を見直すこととなる(例えば、平成32年度の計画を平成33年度に変更するなど)。
 これを財政の観点から考えると、基本計画策定に伴い、長期的な財政の計画を立てることになる。財源の裏付けがなければ、施設整備なども困難になってしまうためである。
 また、毎年度の実施計画は予算編成と連動することになる。実施計画も、予算と連動していなければ意味がない。このように、総合計画と財政は密接に関連している。

2 行政評価

(1)行政評価とは
 行政評価とは、「行政機関が主体となって、ある統一された目的や視点のもとに行政活動を評価し、その成果を行政運営の改善につなげていくこと、さらにそれを制度化して行政活動のなかにシステムとして組み込んで実施すること」(島田晴雄『行政評価』東洋経済新報社、1999年)である。
 この行政評価は、平成13年の「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(一般的には「政策評価法」)の施行に伴い、国の各行政機関に対して政策評価が義務付けられ、自治体においても行政評価の導入が進んだ。

(2)行政評価のポイント
 行政評価のポイントとして、以下の点が指摘できる。
 第1に、何を評価するか。行政活動は、一般に政策(行政の大局的な目的や方向性を示すもの)、施策(政策を実現するための具体的な手段)、事務事業(施策を実現するための具体的な事務事業)という三層になっている。政策を目的とすれば施策はその手段となり、施策を目的とすれば事務事業がその手段となり、三層がそれぞれ目的─手段という関係になる。
 行政評価では、どのレベルで評価を行うかということがポイントになる。事務事業のみを評価対象とすることもあるし、施策と事務事業の両方を、又は政策も含めて三層全体を評価するという団体もある。
 第2に、誰が評価するか。これは大きく2つに分かれ、行政機関自身が行う場合(内部評価)と外部の者が行う場合(外部評価)がある。内部評価も、担当者が行う、上司が行う、他部門が行うなど、方法は様々である。内部評価については行政機関自身が自己評価を行うことが重要である一方で、客観性・信頼性をどのように担保するか、という点が課題となる。
 また、外部評価についても、学識経験者、地域内の団体代表者、住民など、様々な方法がある。外部評価は客観性という点では有効だが、一方で、評価者が必ずしも行政について詳しいとは限らず、適正な評価となるかということも課題として挙げられる。
 第3に、どのように評価するか。例えば事務事業評価であれば、その事務が効率性、費用対効果、国・都道府県・民間との役割分担などの観点から評価を行うことができる。また施策評価であれば、その施策の実現度を測るために、成果指標を設定する場合がある。
 成果指標は、アウトプット(行政の活動量。不燃ごみの回収量が年1トンなど)とアウトカム(成果。住民が生活環境に満足を感じている割合など)が一般的で、この進捗により施策の達成度を判断する。

(3)行政評価と財政との関係
 行政評価は、評価を行った上で、その結果を事業に反映することが重要となる。評価することだけが目的ではない。
 例えば、平成30年度に平成29年度の行政評価を行い、その結果を平成31年度の予算編成に反映するというような形となる。平成29年度決算により事業の執行率や不用額が判明し、事業の進捗率が分かる。また、先のアウトプット・アウトカムの指標により、施策の達成度についても評価が可能となる。
 すべての事業が完璧などということはないので、問題点や修正点を反映し、次年度の予算に反映する。これにより、事業を改善していくことが可能となる。

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