2018.05.25 議会運営
第36回 公聴会と参考人
議会事務局実務研究会 林敏之
自治体議員の皆様、こんにちは。今回は公聴会や参考人についてお届けします。難しい内容の議案のときなどに「専門的な知識のある方から分かりやすい説明をもらえれば、より深い審議ができるのになぁ」と考えたことはありませんか。専門的知見の活用のひとつとして、これらの制度について考えていきましょう。
そもそも公聴会って何?

全国の自治体議会で制定されている議会基本条例の多くで「公聴会制度及び参考人制度を活用する」とうたわれていますが、制度自体は知っているものの、活用したことがない議会が多いのが現状ではないでしょうか。実際に平成28年中に公聴会を行った議会は奈良市議会※のみでした。
さて、公聴会とは地方自治法で定められているとおり、利害関係者や学識経験者等から「予算その他重要な議案、請願等について」意見を聴くものです。議会での審査の参考とするために開催するものであり、利用を見込んで平成24年の地方自治法改正により委員会だけではなく本会議においての開催も可能になりました。
意見を述べる公述人は、賛成と反対の立場の方が同数になるように配慮して決定します。様々な立場の方の意見を聴いて質疑を行うことにより、議案等への理解を深めることができます。
※早稲田大学マニフェスト研究所「議会改革度調査2016」
何で公聴会の開催が少ないの?

公聴会の開催が進まない一因として、その手続の煩雑さが指摘されています。全国市議会議長会の標準市議会委員会条例によると、①議長が公聴会開催の承認をする、②日時、場所、案件等を公示して公述人を募集する、③公述人になりたい人がその理由と賛否を文書で当該委員会に申し込む、④賛否が偏らないように公述人を決定し通知する、とあります。
公示の方法や期間、公述人を決定することなどを考えると、公聴会を行うには多くのステップがあり、開催にこぎつけるまでの労力が大変そうだと考えてしまうのが自然です。まともに行うと、公聴会開催を決めてから実際に開催するまで2、3か月くらいかかってしまうのではないでしょうか。そうすると、話題の鮮度が下がってしまうのは否めません。
議会基本条例で公聴会制度の活用とうたってはみたものの、いざとなって考えるとハードルが高いと改めて感じた議会も多いのではないでしょうか。平成28年中に唯一、公聴会が開催されたのは奈良市議会ですが、これは住居表示に関する法律5条の2第6項で公聴会を開かなければならないと定められている議案が提出されたためであり、議会として積極的に開催したものではありませんでした。
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