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2018.05.25 議会運営

第59回 契約議案の取扱いについて

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明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦

契約議案の取扱いについて

QA議会において長から提出された契約議案を可決後、建設資材の上昇により当該契約金額が10%増額となる見通しとなり、契約を変更する必要が生じた。この場合において、契約変更に当たり再度議会の議決を必要とするのか。

A地方公共団体において契約の種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定められた契約を締結するに当たっては、地方自治法(以下「自治法」という)96条1項5号に基づき当該地方公共団体の議会の議決が必要とされている。

【自治法96条】
① 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
 5 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。

【自治法232条の3】
 普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

【地方自治法施行令121条の2】
① 地方自治法第96条第1項第5号に規定する政令で定める基準は、契約の種類については、別表第三上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。

【地方自治法施行令別表第三(第121条の2関係)】
20180525_2_1

 地方公共団体において本来執行機関の権限としてなしうる契約の締結を条例で定める一定の契約について議会の議決にかからしめたのは、一定額以上の契約については地方公共団体の財政に多大な影響を及ぼすと考えられたため、住民の代表である議員によって構成された議会のチェックを得る必要があると考えられたといえる。
 ところで、政令で定められた種類以外の契約の締結や金額未満の契約の締結を、自治法96条2項に基づき条例で追加議決事件とすることは、行政実例昭和38.12.23のとおりできない。
 これは、本来は執行機関限りにおいて行うことができる契約の締結を、地方公共団体の財政に多大な影響を与えるという理由から一定の契約について特例的に議会の議決にかからしめていることから、さらに政令で定められた一定の規定未満の契約も議決の対象とすることは、その特例の特例となってしまい、そもそもの法の趣旨を逸脱するおそれが高いため認められないと考えられる。

【○本条の種類、金額の定め方(行政実例昭和38.12.23)
問 地方自治法施行令第121条の2で地方自治法第96条第1項第5号及び同項第7号(現行法では第8号)に規定する法令で定める基準についての種類、金額をそれぞれ示しているが、条例制定に当り、これ等の種類を増し、又金額を下廻ることとして差支えないか。
答 地方自治法施行令第121条の2の規定による契約又は財産の取得又は処分の種類を変更し、又は金額を下廻ることはできない。

 ところで、契約議案の提案権は長にのみ専属し、議員は提案権を有しない。また、その性質上、契約議案を提案する前に仮契約を締結する必要があることから、議会に提案された契約議案については、行政実例昭和29.6.21のとおり議会に修正権はない。

○契約に関する議会の修正権(行政実例昭和29.6.21)
問 第96条1項第9号(現行法では第5号)の規定により議会の議決を経なければならない契約について、議会に修正権はないと解してよいか。
答 お見込のとおり。

 そして長が提出する契約議案には、行政実例昭和25.12.6のとおり、①契約の目的、②方法、③金額、④相手方等を明記することとされている。

○議会に提出する工事請負契約に関する議案内容(行政実例昭和25.12.6)
問 当市においては工事の請負契約に関する条例中に「第3条 予定価格が1千万円(現行令では1億5000万円)以上の工事の請負契約を締結しようとするときは、議会の議決を経なければならない。」と規定しているが、
 1 議案には工事請負契約書案を提案しなければならないか。
 2 契約書案の添付の必要がない場合は
  一 工事請負の金額
  二 契約の相手方の住所氏名
  三 工事の場所、程度を明記すればさしつかえないか。
答1 別にその必要はない。
 2 契約の目的、方法、金額、相手方等を明記すればよい。

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