2018.05.10 政策研究
第20回 景気と税制改正
1 景気
(1)景気とは
景気とは、経済の好調・不調、上向き・下向きを示すもの。景気が良ければ、個人・企業・国などの収入が増え、悪ければその反対となる。需給関係で見れば、需要が大きければ、供給もそれだけ増えるため、景気は良くなる。供給過多になると、需要に見合うまで供給はひかえられ、景気は失速することになる。
(2)景気を判断する指標
景気を判断する指標としては、以下のようなものがある。
① 景気動向指数
景気動向指数は、生産、雇用など様々な経済活動において、重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標のことで、内閣府が毎月公表する。
この指数は3つに分類される。具体的には、景気に対し先行して動く先行指数(新規求人数などから算出)、ほぼ一致して動く一致指数(生産指数などから算出)、遅れて動く遅行指数(法人税収入などから算出)の3つ。
景気の現状把握には一致指数を利用し、先行指数は、一致指数に数か月先行することから、景気の動きを予測する目的で利用する。遅行指数は、一般的に、一致指数に数か月から半年程度遅行することから、事後的な確認に用いる。
② 日銀短観
正式名称は「全国企業短期経済観測調査」。統計法に基づき、日本銀行が行う統計調査で、全国の企業動向を把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としている。全国の約1万社の企業を対象に、四半期ごとに実施している。
企業の自社の業況や、経済環境の現状・先行きの認識、売上高や収益、設備投資額といった事業計画の実績・予測値など、企業活動全般にわたる項目について調査している。
経営者に景気が「良い」か「悪い」かを尋ねて、「良い」と答えた比率から「悪い」と答えた比率を引き、プラスなら景気は上昇、マイナスならば景気は悪化と考える。
③ 月例経済報告
内閣府が公表する、景気についての公式な見解を示した報告書。基調判断として、景気の全体的な状況を表すほか、個人消費、設備投資、海外経済などの動向などに言及し、その時点での国の景気に対する見解が分かる。
月例経済報告で示す「景気の総合的な判断」を景気の基調判断という。その内容は、総論で短い文章で景気の現状を示している。また、各論として輸出・生産・企業収益などの現状にも言及している。
総論の表現については、足踏み状態にある、弱含んでいる、弱まっている、悪化している、急速に悪化している、厳しい状況にある、持ち直してきている、回復しているなど、毎回微妙なニュアンスが注目されており、その表現が変わったときは注意が必要とされる。