2018.03.26 議会運営
第58回 財産取得議案の取扱いについて
明治大学政治経済学部講師/株式会社地方議会総合研究所代表取締役 廣瀬和彦
財産取得議案の取扱いについて
一般市であるA市が、地域センター建設のために、3人の土地所有者からそれぞれ、Bからは1,000平方メートルの土地を1,500万円で、Cからは1万平方メートルの土地を3,000万円で、Dからは2万平方メートルの土地を1億円で取得しようと考えている。土地取得に当たっては、議会の議決を要するものはCとDとの土地取得の件だけで足りるか。なお、A市は政令で定められた最低基準により条例を規定している。
1 財産の取得、処分について
地方公共団体における財産の取得、処分については、地方自治法(以下「自治法」という)96条1項8号で地方自治法施行令(以下「自治令」という)121条の2第2項で定める基準に従い、条例で定める財産の取得又は処分をすることとされている。すなわち種類については、①不動産の買入れ・売払い(土地については、その面積が都道府県にあっては1件2万平方メートル以上、指定都市にあっては1件1万平方メートル以上、市町村にあっては1件5,000平方メートル以上のものに係るもの)、②動産の買入れ・売払い、③不動産の信託の受益権の買入れ・売払いであること。金額については、都道府県では7,000万円以上、指定都市では4,000万円以上、それ以外の市では2,000万円以上、町村は700万円以上で条例で規定したものとされている。
【自治法96条】
① 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
8 前2号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
【自治令121条の2】
② 地方自治法第96条第1項第8号に規定する政令で定める基準は、財産の取得又は処分の種類については、別表第四上欄に定めるものとし、その金額については、その予定価格の金額が同表下欄に定める金額を下らないこととする。