2018.03.12 政策研究
第18回 自治体の資金運用と金利
1 自治体の資金運用
自治体の現金及び有価証券の出納・保管は、会計管理者がつかさどる(地方自治法(以下「自治法」という)170条1項、2項)。また、自治体の資金運用は、法令でその取扱いが定められている。
(1)歳計現金の取扱い
歳計現金とは、一会計年度における一切の収入又は支出にかかる現金で、自治体の所有するものをいう。
普通地方公共団体の歳入歳出に属する現金(歳計現金)は、最も確実かつ有利な方法によりこれを保管しなければならない(自治法235条の4第1項)。具体的には、会計管理者は、歳計現金を指定金融機関その他の確実な金融機関への預金、その他の最も確実かつ有利な方法によって保管しなければならない(地方自治法施行令(以下「自治令」という)168条の6)とされている。
(2)歳入歳出外現金の取扱い
歳入歳出外現金とは、債権の担保として徴収するもののほか、地方公共団体の所有に属さない現金のことをいう。例えば、入札保証金、契約保証金、公営住宅敷金などがある。歳入歳出外現金又は有価証券は、法律又は政令の規定によるのでなければ、保管することができない(自治法235条の4第2項)。
また、会計管理者は、長の通知がなければ、これらを出納することができない(自治令168条の7第2項)。なお、法令又は契約に特別の定めがあるものを除くほか、歳入歳出外現金には、利子を付すことができない(自治法235条の4第3項)。
これらの定めのほか、歳入歳出外現金の出納及び保管は、歳計現金の出納及び保管の例により行うものとされている(自治令168条の7第3項)。
(3)基金の取扱い
普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる(自治法241条1項)。
基金は、これを条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない(自治法241条2項)。
また、基金の管理については、基金に属する財産の種類に応じ、収入若しくは支出の手続、歳計現金の出納若しくは保管、公有財産若しくは物品の管理若しくは処分又は債権の管理の例によるとされている(自治法241条7項)。
(4)積立金の取扱い
積立金とは、基金のうち「特定の目的のための資金の積立て」を目的とする基金への積立金をいう。
積立金は、銀行その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債権(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券)その他の証券の買入れ等の確実な方法によって運用しなければならない(地方財政法4条の3第3項)。
2 金利
(1)金利とは
金利とは、資金を一定期間、貸借するために必要な料金を、貸借した額に対する割合で示したもの。
お金を借りる側から見れば、お金を借りるための「レンタル料」が金利ともいえる。反対にお金を貸す側から見れば、お金を貸した期間はそのお金を消費することができないため、「我慢料」がもらえることになる。
(2)金利の特徴
金利の特徴として、次の3点が挙げられる。
第1に、通常、金利は「年利○%」と表示される。年利とは、1年間当たりの金利のこと。
第2に、一般的に、金利は期間が長いほど高くなる。貸す側から見れば、お金を使えない期間が長くなるので「我慢料」は大きくなる。また、借りる側から見れば、長期間借りるので「レンタル料」が大きくなる。
第3に、金利は変動する。お金を借りる人と貸す人がいるが、この需給関係により金利は変動する。例えば、多くの人がお金を借りたいと思えば、金利は上昇する。なぜなら、レンタル料(金利)が高くても借りたい人が多いためである。
反対に、借りたい人が少なければ、金利は低下する。貸す人は、我慢料(金利)を低くしても、借りてもらいたいと思うからである。このような需給関係により、金利は変動する。
なお、平成8年に金融ビッグバンが起こり、金融の自由化がさらに進んだ。この結果、各銀行が自由に預金金利・貸出金利を設定できるようになっている。
(3)利率・利回り
金利と類似したような用語として、利率や利回りがある。利率は、金利と同様の意味で用いられるほか、債券(国や自治体などが資金調達のために発行する有価証券)においては額面金額に対する利息の割合を指す。
また、利回りは、投資元本に対する利子を含めた収益の割合を指し、債券においては購入金額に対する収益の割合を示す。