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2018.02.26 政策研究

自治体議員はどういう職業に就くのか

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議員は「立法関係の仕事に従事する管理的公務員」

 国勢調査で使われている職業分類では、大分類A―管理的職業従事者があり、この大分類には、「事業経営方針の決定・経営方針に基づく執行計画の樹立・作業の監督・統制など、経営体の全般又は課(課相当を含む)以上の内部組織の経営・管理の仕事に従事するものが分類される。国・地方公共団体の各機関の公選された公務員も本分類に含まれる」とされている(下線筆者。以下同じ)。
 その下の中分類(1)に「管理的公務員」とあり、「国又は地方公共団体における課(課相当を含む)以上の内部組織の業務を管理・監督する仕事に従事するもの及び議会議員として立法関係の仕事に従事するものをいう」とされている。そこに、国会議員等とともに、「知事、副知事、教育長、市長、町長、村長、会計管理者(市町村)、自治体区長、公民館長(自治体のもの)、都道府県議会議長、都道府県議会議員、市区町村議会議長、市区町村議会議員、教育委員、各地方公共団体の局・部・所・課・署・庁・室・場長、選挙管理委員、駅長・区長(公営鉄道)」が列挙されている。
 この分類に従えば、自治体議員は、「管理的職業従事者」で、そのうちの「管理的公務員」ということになる。これは一般には聞き慣れない呼称であるが、自治体議員は、「職業は?」と聞かれたら「管理的公務員です」と答えられる。自治体議員は、国会議員と同様に、「議会議員として立法関係の仕事に従事するもの」という扱いである。

専業・本業・兼業

 少なくとも国勢調査では、自治体議員は職業分類上の「職業」である。議員としての仕事をしているからタダ働きということはない。職業分類上は「管理的公務員」という、それなりの仕事に就いている。仕事をしているのだから、何らかの金銭的な見返りがあって当然である。報酬の額は各自治体の条例で定めることになっているから、自治体間に高低の違いがあるが、無報酬とすることは違法である。
 しかし、このことは議員を専業と見なすことと同じではない。専業とは、一般的には、ひとつの仕事を専門にすることであり、対語は兼業であり、それは本業と兼ねて他の仕事を行うことである。自治体議員の中には、毎日、議員として朝から晩まで活動しているので他に職業を持つことは不可能だ、自分は議員を専業にしているという人もいる。ただし、それは、ご本人の意向によっているのであって、法的に専業が義務付けられているのではない。特別職の地方公務員である議員は、議員以外の職業を兼ねることを認められており、議員であることが本業であっても専業であるとまではいえない。事実、決まった時間と場所で勤務するという職務専念義務はない。職務専念の義務がないにもかかわらず、議員を専業にしているというのであれば、兼業ではないというだけでなく、朝から晩まで自治体議員としての活動をしているという、その「専業」の具体的な内容が明らかにされなければならない。自治体議員であるのは、その自治体から報酬を支給されるに値する仕事をしているからであり、議員活動といっても、その仕事には該当しない活動を込みにして専業だといっても通用しないからである。特に会派活動と政党活動が混然一体化している実態をどう見るかが問題になる。
 ともあれ、ひとまず自治体議員は、職業分類上は、「立法関係の仕事」に従事し、その仕事の対価として報酬を得ている職業で、「管理的公務員」であるということができそうである。ただし、こういってもなお、その「ひとまとまりの任務」が明確になったわけではない。自治法上に、自治体議員の任務をできるだけ明確化する条文の規定を工夫する必要があるように思われる。

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