2018.02.26 政策研究
自治体議員はどういう職業に就くのか
国勢調査での報酬
国勢調査で定義されている報酬とは「名目のいかんを問わず、労働への対価として給されたもの」をいうとされているから、この「報酬」の定義の仕方は、自治法の203条と204条で使い分けられている、非常勤職への「報酬」と常勤職への「給料」という区別とは異なっている。現行の203条の「議員報酬」という言い方には、国会議員の「歳費」と区別するという意味合いがあるが、自治体議員への報酬は給与ではない、つまり生活給ではないという含みとなっている。これは、204条と205条に規定されている首長の扱い(給料及び旅費・期末手当・退職手当・退職年金など公費支給では常勤職扱い)と対照的である。
職務と費用弁償
実は、現行の203条2項には「議会の議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる」と定められており、ここに「職務」という言葉が出ている。この職務は、議員の「ひとまとまりの任務」と関係がありそうである。
費用弁償は、戦前、議員が無報酬の名誉職であったときの実費に当たるもので、それが、戦後、自治法で報酬を支給しなければならなくなったにもかかわらず、これとの関係をきちんと検討しないまま、持ち越したものであった。これは交通費なのか、月額報酬には含まれない1回ごとの実働への報酬なのか不明であった。東京都議会の場合は、つい最近まで会議に出ると、日当のように1日1万円が支給されていた(現在は廃止されている)。今日では、費用弁償は、公務出張の旅費支給を別にすれば、議員が会議の招集に応じて出かけることにかかる実費=交通費と考えるのが一般的な了解となっている。
費用弁償の対象となる職務は、従来、自治法に明定されている正規の会議へ出席することに限ると極めて狭く解釈されていた。それ以外の会議への出席に費用弁償することは違法だとされた。
「職務」をこのように狭く解釈するのは、議会活動の実際にそぐわないのではないかということで、2008(平成20)年に自治法の改正があり、「議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる」(自治法100条12項)ことになり、「職務」の範囲を拡大することができるようになった。しかし、これでもまだ、自治体議員の「ひとまとまりの任務」が何であるかを十分にはカバーできない。