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2018.02.26 政策研究

自治体議員はどういう職業に就くのか

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東京大学名誉教授 大森彌

職業欄に何と書くのか

 自治体議員は任期4年の特別職の地方公務員であるが、そもそも、議員というのはどういう職業なのであろうか。自治体議員は、例えば子どもが通う学校の書類の親の職業欄とか国勢調査の職業欄には、何と記入しているであろうか。議員選挙の告示後に新聞には立候補者一覧が掲載され、そこには立候補者の職業欄があり、会社経営、自営、農業、政党役員などと書いてあるが、例えば市会議員と町会議員という表記はあまり見かけない。議員であったなら「元議員」と書くのか、議員以外に仕事をしていなかった場合は「無職」と書くのか。自治体から一定の報酬をもらっているのであるから、それに見合う仕事を行っているはずであるが、その内容は必ずしもはっきりはしていない。
 そこで、総務省統計局の「平成27年国勢調査に用いる職業分類」を調べてみた。今回は、これを手掛かりに、自治体議員はどういう職業に就くのかを考えてみた。

国勢調査で職業とは

 「国勢調査に用いる職業分類」の解説によると、職業分類において、仕事とは「一人の人が遂行するひとまとまりの任務や作業」をいい、報酬とは「賃金、給料、利潤(個人業主)、その他名目のいかんを問わず、労働への対価として給されたもの」をいい、職業とは「個人が行う仕事で、報酬を伴うか又は報酬を目的とするもの」をいうとされている。
 上記の「仕事」の定義を使うと、自治体議員の仕事は、「ひとまとまりの任務」の遂行ということになる。各議員が集まって合議体としての議会を構成(組織)しているから、議員は、議会が果たさなければならない任務を共同で遂行しているといえる。したがって、議員の仕事は、議会の任務との関係で決まるということになる。議会の任務と関係のないことは議員の仕事にはならない。それを仕分けして、各議員が行う「ひとまとまりの任務」を特定できるかどうかが問題になる。

「ひとまとまりの任務」の遂行

 すぐ気づくことは、首長が議会を招集すると、議員は、本会議や委員会などの各種の会議に出席して、協議を行い、事案の審議に参加しなければならない。これに無断欠席は許されない。これが、議員の「ひとまとまりの任務」の中核をなしているといえる。しかし、これだけで議員の仕事が尽きているわけではない。
 もし、公式に定まっている会議に出席することで「ひとまとまりの任務」が尽きているというのであれば、これに対する対価が議員報酬ということになる。そうなると、議員の仕事は定まった会議へ出席することだけになり、報酬はその仕事への対価ということになる。逆にいえば、これ以外に報酬を支払う理由はないということになる。これを厳密に行おうとすれば、議員が会議に出席した日数を特定して、単価を決めて報酬額を計算することになる。自治体では、一般職の非常勤職員への報酬は、こうした考え方から日割計算になっている。
 しかし、地方自治法(以下「自治法」という)の旧203条2項の規定によって、報酬を勤務日数に応じて支給することから議員は除外されている。これによって議員への報酬は日額支給ではなく月額支給が可能になっているし、現にそうしている。しかも、議会が休会中の月でも議員報酬が支給されているから、会議に出ることだけが議員の仕事であるという理屈は成り立たない。議員の「ひとまとまりの任務」には、これ以外のものが入っているはずである。

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