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2018.02.13 政策研究

第17回 地方財政と議会②(予算の決定と決算の認定)

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1 議会における予算の決定

(1)予算の提出と審議
 予算の提案権は首長のみであり、議員にはない。首長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならないとされ、都道府県及び指定都市は30日前、その他の市及び町村では20日前までに議会に提出しなければならない(地方自治法(以下「自治法」という)211条)。また、首長は議会に予算を提出するときは、予算に関する説明書を併せて提出する。
 予算が議会に提出されると、議長は本会議に上程する。一般的に、当初予算を審議する際には、特別委員会が設置され、そこで集中的に審議される。補正予算については、当初予算同様に予算特別委員会が設置されることもあるが、常任委員会で審議されることもある。
 その後、委員会の審査の結果が本会議に報告され、本会議がこれを受けて討論、表決を行う。
 なお、予算の中で議会の議決の対象となるのは、議決科目である「款」、「項」であり、執行科目である「目」、「節」は対象とならない。また、予算の議決があったときは、議長は当該予算を3日以内に首長に送付する義務がある(自治法219条1項)。このように、予算は議会の議決によって成立するのが原則だが、例外的に専決処分によって成立することもある。

(2)予算の増額修正権
 予算の提案権は首長のみであり議員にはないが、自治法97条2項では、議会による予算の増額修正ができることが明記されている。しかし、増額修正には一定の制約があり、首長の予算の提案権を侵すことはできないとされる。
 つまり、首長が提案した予算の趣旨を損なうような増額修正はできない。その具体的判断は、当該増額修正をしようとする内容、規模、当該予算全体との関連、当該地方公共団体の行財政運営における影響度等を総合的に勘案して、個々の具体の事案に即して判断すべきものとされている。
 なお、予算の修正には増額だけでなく減額修正もあるが、減額修正については、基本的には制約がない。これは、首長が提出した予算案を減額するため、増額とは異なり、首長の提案した内容と大幅に変わることがないと考えられるためである。また、もし予算案そのものに反対であれば、減額でなく否決することもできるためである。
 減額修正の対象となるのは、首長により提出された予算案である。例えば、補正予算案の減額修正については、原則として補正の対象とされていない部分については修正することができず、補正予算案に関する部分のみ修正が可能となる。

(3)予算と条例・規則との関係
 首長は、条例その他議会の議決を要すべき案件が新たに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない(自治法222条1項)。
 これは、自治体の健全な行財政運営を期するため、執行機関の自己統制を求めるものである。「予算上の措置が適確に講ぜられる見込み」とは、一般的には、関係予算案が議会に提出されたときであると解されている。
 また、首長又は委員会等の権限に属する事務に関する規則その他の規程の制定又は改正が新たに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられるまでの間は、制定又は改正してはならないとされている(自治法222条2項)。

2 議会による決算の認定

(1)決算認定の流れ
 出納の権限を持つ会計管理者は8月31日までに決算を調製し、首長に提出する(自治法233条1項)。首長は、証書類等と併せて監査委員の審査に付す(同条2項)。監査委員は決算審査を行い、合議による決算審査意見書を首長に提出することになる。
 その後、首長は議会での決算認定に付すため、決算書類、決算審査意見書、及び主要な施策の成果を説明する書類等を提出する(同条5項)。議会の認定については、次の通常予算を審議する会議までに行う必要がある(同条3項)。
 決算の審査に当たって、一般的に、予算の審査と同様に特別委員会が設置され、集中的に審議される。なお、議会で決算が認定されなくても、決算の効力には影響がない。
 その後、首長は議会の認定に付した決算の要領を住民に公表する(同条6項)。

(2)監査委員と議会の決算審査
 監査委員とは、地方公共団体の財務事務の執行や事業の管理を監査するために置かれる執行機関をいう(自治法199条1項)。監査委員は、地方公共団体の首長が、議会の同意を得て識見を有する者及び議員のうちから選任する(自治法196条1項)。監査委員の人数は、都道府県と政令で定める市は4人、その他の市町村は2人(ただし条例による増加可)(自治法195条)。そのうち、議員から選任する監査委員は、都道府県と政令で定める市は2人又は1人、その他の市町村は1人となっている(自治法196条1項)。
 監査委員の役割としては、①一般監査(財務監査、行政監査)、②特別監査(事務監査請求、議会からの監査請求など)、③その他(決算審査、現金出納検査など)、がある。
 監査委員の決算審査は、決算書等の関係諸表の計数を確認するとともに、予算の執行が合理的かつ効率的なものとなっているかなどを主眼に実施し、決算審査意見書を作成し、首長に提出する。
 一方、議会では監査委員の意見書や決算書類により決算の審査を行う。予算現額と決算額の対比、不用額の理由、事業効果など様々な視点から審議が行われる。

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