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2018.01.25 政策研究

第1回 ネット活用の町民全員会議で町を活性化

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【インタビュー2】

岩田崇さんに聞く

 町民全員会議の特別指導員を務める慶應義塾大学SFC研究所上席所員の岩田崇さんにお話を伺った。

岩田崇さん岩田崇さん

――どういう経緯で自治体PRMを生み出したのですか。
 もともと民間企業でマーケティングを担当していたのですが、退社してウェブの仕事に転じました。そこで政策提言をまとめることを依頼されたのがきっかけで、ネットと政治・政策に関心を持つようになりました。経営コンサルタントの仕事をしながら大学院に通い、これまでの世論調査とは違った民意の集約の方法を研究しました。

――それが自治体PRMにつながったのですね。
 そうです。通常の世論調査は住民が事実をよく知らずに回答してしまうなど、穴が開いています。それで設問に関連する情報をしっかり提示した上でアンケートを行い、同じ設問を議員にもぶつけます。それぞれの回答を分析した上で、タイプ分けしてマッチングさせるというシステムを開発しました。これが自治体PRMの原型です。

――塩谷町で自治体PRMを活用した町民全員会議を実施することになったきっかけは。
 知人に塩谷町を紹介されたのです。それまでは塩谷町のことは何も知らず、知人に連れられて初めて訪ねました。2013年12月25日です。とても古い役場で、中を歩くとミシミシと音がしました。今はもう慣れましたが、あのときは驚きました。企画担当の職員と話をしたら、「これは面白い!」と評価されました。すぐに職員が町長に進言し、2014年1月20日に町長との面談となりました。それで、やってみようということになりました。しかし、町に想定外のことが起こりまして、しばらく頓挫してしまいました。

――原発事故で出た放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場問題ですね。
 そうです。町にとって大きな問題ですので、職員はその対応に追われました。それで自治体PRMを活用した町民全員会議の本格稼働は2015年10月からとなりました。

――プロジェクトに対する住民の反応はどのようなものでしたか。
 本当にやるのかという感じでした。でも、実際にやってみたら、「こんなことは今までなかったので、とてもうれしい」とか「こういう取組みをもっとやってほしい」といった声が寄せられました。

――具体的な成果はあるのですか。
 町民全員会議の結果を町の施策に落とし込むことはこれからの課題だと思います。行政の横の連携や戦略性に少し課題があるかなと思います。住民からの回答をしっかりフォローすることが何より大事だと思います。

――岩田さんはどのような思いで塩谷町の町民全員会議の特別指導員をしているのですか。
 この仕組みを活用して特に若い人たちが簡単に地域経営に参画できるように後押しができたらと思っています。それには情報を読み取る力をつける必要があります。まずは慣れることです。住民と行政をつなぐ自治体PRM事業は、主権者教育の面もあるかと思っています。

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