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2018.01.12 政策研究

第16回 地方財政と議会①(議会の権限と再議)

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2 再議

(1)再議とは
 再議とは、議会の議決や選挙等に異議がある場合、再度の審議と議決を求める制度で、長の拒否権ともいわれる。この制度は、議会と長との間に対立が生じたときに、首長の側からこれを調整する手段として認められている。二元代表制における特徴的な制度となっている。
 再議は、一般的拒否権と特別的拒否権の2つに区分できる(地方自治法176条、177条)。
 一般的拒否権とは、議会の議決に異議があれば発動できるもの。その対象は、以前は条例の制定や改廃、予算に関する議決だけだったが、現在はそれ以外の議決事件に拡大されている。首長は議決の日(条例・予算に関する議決は送付を受けた日)から10日以内に理由を示して再議に付すことができ、議会は審議を行う。過半数の再議決で確定するが、条例・予算については、出席議員の3分の2以上の同意が必要となる。
 特別的拒否権とは、特別の要件の下で発動しなければいけない、長の義務である。その内容は、①議決又は選挙が議会の権限を超え、又は法令・会議規則に違反すると認めるとき、②法令により負担する経費等の削除・減額の議決をしたとき、③非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費の削除・減額の議決をしたとき、となる。
 再議後も同じ議決等の場合は、①については総務大臣又は知事に審査を申し立てることができる。②は議決に反し予算を計上することができ、③については首長への不信任議決とみなすことができる。

(2)予算の再議
 予算の再議については、以下のように分類できる。
〈一般的拒否権〉
●長に異議のある議決に対する再議
 議会の修正議決が長の意思や政策に反するものである場合に、長がこれを拒否するために設けられた制度。この場合、再議を行使するか否かは長の裁量に任されており、再議を行う理由について特に制約はないが、否決された予算は再議の対象とならない。再議に付された予算が出席議員の3分の2以上の同意があった場合には、議決は確定する。
〈特別的拒否権〉
●違法な予算の議決に対する再議
 長の予算提案権を侵害するような増額修正など、議会の議決の内容が議会の権限を超え、又は法令等に違反すると認めるときは、長は理由を示して再議に付さなければならない。再議でも同様の議決がなされた場合には、総務大臣又は知事に審査を申し立てることができる。
●義務費を削除又は減額する議決に対する再議
 生活保護費等の法令により負担する経費や、法律の規定に基づき当該行政庁の職権により命ずる経費、その他自治体の義務に属する経費を削除し、又は減額する議決があった場合、長は理由を示してその経費及びこれに伴う収入を再議に付さなければならない。
 再議に付しても同様の議決がなされた場合には、長は当該義務費及びこれに伴う収入を原案のまま予算に計上し、執行することができる。
●非常災害復旧費等の削除又は減額の議決に対する再議
 非常災害による応急・復旧の施設のために必要な経費、感染症予防のために必要な経費を削除し又は減額する議決があった場合には、長は理由を示して再議に付さなければならない。
 再議に付しても同様の議決がなされた場合には、長はこれを不信任の議決とみなし、10日以内に議会を解散して住民に信を問うことができる。これは、住民にその適否を判断させようとするためである。

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