2018.01.12 政策研究
第16回 地方財政と議会①(議会の権限と再議)
1 議会の意義と権限
(1)議会の意義
自治体では首長とともに議員も選挙によって選ばれ、ともに住民の代表となる。二元代表制とは、このように行政と議会が互いに協力・けん制しながら自治を行っていくことをいう。議会の存在により、首長の暴走の抑止、多様な住民の意見の反映がなされ、両者の議論により政策形成を行うことができる。
首長は、予算や条例などの議案の提出権や人事権などの権限を持ち、議会は議案の議決権などによって監視機能を担い、首長の不信任を決議する権限を持つ。また、首長は不信任を受けた場合に、議会を解散することができる。
憲法93条には「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する」、地方自治法89条には「普通地方公共団体に議会を置く」とあり、議会の設置について明記されている。ただし、町村については、条例により、議会を置かず、有権者からなる町村総会を置くことができる(地方自治法94条)。
(2)議会の権限
議会には立法機能、執行機関に対する監視機能などがあるが、具体的な権限として、議決権、選挙権、検査権などがある。議会は地方公共団体の議決機関であるため、議決権は最も中心となる権限となる。議決権は、地方公共団体の意思又は機関としての議会の意思を決定するために議会に付与された権限で、議会における議決事項は、地方自治法に制限列挙されている。
地方自治法96条に列挙されている議決事項は以下のとおり。
① 条例の制定・改廃
② 予算の決定
③ 決算の認定
④ 法令のほか、地方税の賦課徴収、分担金・使用料・加入金・手数料の徴収
⑤ 条例で定める契約の締結
⑥ 条例で定める場合を除くほか、財産の交換・出資目的化・支払手段化・適正な対価なき譲渡・適正な対価なき貸付け
⑦ 不動産の信託
⑧ 条例で定める財産の取得・処分
⑨ 負担付き寄附又は贈与を受けること
⑩ 法令・条例で特別に定める場合を除き、権利を放棄すること
⑪ 条例で定める重要な公の施設につき、条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること
⑫ 地方公共団体が当事者である審査請求その他の不服申立て・訴えの提起・和解・あっせん・調停・仲裁に関すること
⑬ 法律上その義務に属する損害賠償の額の決定
⑭ 区域内の公共的団体等の活動の総合調整
⑮ その他法令(これに基づく条例を含む)により議会の権限に属する事項
このほか、条例で議決事項を定めることができ、法定受託事務についても、一定の範囲で議決事件とすることができる。