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2017.12.11 議会改革

今あらためて議選監査委員を考える(下)

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江藤:なるほど、現場の実情は理解できる。ここで、議員が監査委員を務めるという、議選監査委員の意味、意義をあらためてお聞きしたい。

K氏:江藤先生のいわれるとおり、やはり用心棒であることは大前提。議員が監査委員を務めることの意義は大きい。監査の前夜寝られなかったと、ある課長からいわれたことがある。それは、これまでの私の議会活動を直接見ていたため、予定調和ではなく、厳しく突っ込まれるのではないかという警戒心からだったという。これが、常勤監査委員や代表監査委員であれば、ある程度で収めてくれる安心感があるため、そこまでの警戒心を抱くことはないという。ところが議選監査委員の場合は、最後はその職を賭してまでも、とことん追及する可能性がある。私も、いつクビになってもいい覚悟で、監査に臨んでいた。首長の部下であるフリをしているが実はそうではない。また、クビになったとしても、今度は議会の場で追及するチャンスが残されている点も、常勤監査委員や代表監査委員との違いである。もちろん、本当にそこまでやってしまうことはないが、可能性として突っ込める奥行きの深さこそが、議選監査委員の用心棒たるゆえんである。

I氏:二元代表制の一翼を担う議会が、監査委員制度からはじかれることは、非常に不名誉なことと考えている。こういった議論が生じるのも、議選監査委員が監視機能を果たせていなかったことに問題があるのだろう。Kさんのような議選監査委員は逆に珍しくて、おとなしく決裁印を押してくれる人が圧倒的に多い印象である。だからこそ、いてもいなくてもあまり変わりがないのではないかといわれてしまう。そのことを危惧している。だとすると、議選監査委員を選出する議会側こそ大いに反省すべきだろう。議選監査委員は、議会の代表として監査委員を務めていることを自覚し、その責任を果たしていかなくてはならない。また、議選監査委員の行動規範なり倫理規定なりをしっかりと制定する必要もあると思う。つまり、「こういうことをしてはいけない」ということばかりではなく、「こういうことをしなくてはいけない」ということもはっきりさせる必要がある。法律で定められないなら、自治体ごとに制定するなどがあってもよいだろう。それに従って議選監査委員は活動をしていく。

X氏:Iさんのお話を聞いて感動している。それが実現すると本当によいと思う。監査事務局の立場からすれば、議会と監査委員会というのは、戦後の地方自治法制定以後、もっとも機能不全を強いられた組織である。議会に対しては一応の敬意を払う。大事なことを教えたくないので奉る。つまり、愛情のない甘やかしをするということ。一方、監査委員会は、そういうこともないので一方的に無視されてきた。議選監査委員がいなかったら、私たち監査事務局の先輩方は、もっと苦境に陥っていたことだろう。それこそ、資料も出してくれないということになっていたのではないだろうか。監査の機能不全の時代において少なくとも、議選監査委員の果たしてきた役割はあったのではないだろうか。個人的には、議員の協力を得ずとも、議選監査委員以外の監査委員や監査事務局がきちんと執行部のオペレーションを監視するなど、もっと頑張れば、当然、執行部は緊張感を持つため、議選監査委員は原理的には必要ないという結論に至ってしまうのであるが……。

廣瀬:だいぶ、論点が整理されてきた。議選監査委員は必要なのかという議論がされる一方で、制度に甘えてきたことによって、うまく活用できないけれど頼ってきたという事実がある。ここで、会場からのご質問を受けたい。

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