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2017.12.11 議会改革

第35回 文書質問は閉会中も認められるのか?

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実務の輝き・提言

 まず、文書質問を制度化しようとする目的をもう一度考えてみましょう。それぞれの議会の事情があることでしょうが、ざっと考えると、以下のようなことが挙げられるでしょう。

① 議員数が多いなどの理由で、一般質問を行うことができる議員数が限られていたり、一般質問の持ち時間が不十分で、それを補う必要があること
② 各議員が希望の委員会に所属できるわけではないので、議員としての関心事について質問をしたいと思っていること
③ 閉会中の緊急の案件につき議会としての役割を果たすべきと考えていること

 ①、②の場合には、文書質問がひとつの解決方法になることでしょう。例えば、東京都議会では、文書質問は、会議規則で「会期中」に行うことができると規定した上で、その定例会で一般質問を行った議員は遠慮してもらうことが議運の申合せで決まっています。「文書質問が一般質問を補完する趣旨のものである」ことからの申合せということです。
 ②については、一般質問で対応するほか、委員外議員の活用によって解決できる場面があるかもしれません。委員外議員の質問については、非常に限定的に考える議会もあるように感じています。もちろん、本来の委員の審議を十分に確保することが重要ですが、「少数会派で希望の委員会に所属できない」などの場合もあるのですから、もう少し柔軟に考えてみてはどうでしょう。また、そもそも委員会への所属が大会派の希望優先になっている慣例があるのなら、それも改善する必要があるかもしれません。
 ③については、議会改革を進めた議会が到達する境地といえます。「閉会中の文書質問」という方法ではなく、通年の会期(通年議会)に移行して、議会の役割を果たすべきではないでしょうか。そうした認識を議会基本条例で示している議会もあります。

◯只見町議会基本条例
 (文書質問)
第8条 議員は、通年議会の制度を活用し、休会中においても主体的及び機動的な議員活動を行うため、議長を経由して町長等に対して文書で質問をすることができる。
2 文書による質問について必要な事項は、只見町議会通年議会実施要綱で定める。

 文書質問の制度化が議会で問題になったときに、その目的と併せて考えたいのが、その回数の問題です。「単なる資料の要求は認められない」、「緊急を要するものでないと認められない」などとして、濫用を防いだつもりでも、非常に多数の文書質問を行う議員が出てくることがあります。質問することは悪いことではないのですが、「質問することを実績としてアピールする」議員はいただけません。文書質問の回答は、その内容が執行部内で十分に検討されてなされるものです。あまりにも数が多いと、行政執行に支障が生じます。議会も執行部も住民の福祉を実現する存在なのですから、その配慮は必要です。極めてたくさんの文書質問が出てきたらどうするか、その点もあらかじめ議論しておくといいでしょう。

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