2017.10.25 議会運営
第55回 動議の一般的解釈と質疑・討論省略の動議の取扱い
○動議の採択(行政実例昭和24.12.1)
問 議会で議員から動議が提出され賛成者があったとき議長はその動議を必ず採択して議題としなければならないか。
答 会議規則の定めによるものであるが、一般的にはお見込みのとおり。
次に、動議はその性質によって、日程追加を要する動議と日程追加を要しない動議に分けられる。この区分の仕方は、独立の動議かどうかで判断する必要がある。すなわち、日程追加を要する動議は、独立の動議であり、例として懲罰動議や議長不信任動議等がある。これに対し、日程追加を要しない動議は次の2つがある。すなわち、①議事進行に関する動議、②議題に直接関係のある動議である。
なお、動議に対しては議案と異なり修正することはできない。動議は一般的には口頭で提出されるものだからである。それゆえ、発議された動議と内容が異なる場合は、改めて別の動議を発議する必要がある。
さて、本問における質疑(討論)省略の動議であるが、会議規則60条における質疑又は討論終結の動議とは異なる。
【会議規則60条】
① 質疑又は討論が終ったときは、議長は、その終結を宣告する。
② 質疑又は討論が続出して容易に終結しないときは、議員は、質疑又は討論終結の動議を提出することができる。
③ 質疑又は討論終結の動議については、議長は、討論を用いないで会議にはかって決める。
質疑又は討論終結の動議は、質疑又は討論が続出し、いつ終了するか見当がつかないような状況においては、円滑な議事進行の観点から質疑又は討論を終結することもやむを得ないとして認められた動議である。
これに対して質疑又は討論省略の動議は、質疑又は討論の通告者がいるにもかかわらず、質疑又は討論を省略する動議であり、不適法な動議として認めることはできない。
すなわち、当該動議が会議規則16条に規定された所定の形式的要件を満たして議長に提出されたとしても、議長は動議の受取りを拒否することができる。
また当然、審議に供することはない。なぜなら、議会は言論の府であり、質疑又は討論は議員の権利であるから、それを一切行わないというのは、議会の本質に反するものであるからである。
質疑又は討論の通告者がいるのであれば、通告に従って質疑・討論を行わせる義務が議長にはあり、それが続出して容易に終結しない場合に、必要に応じて討論終結の動議を可決すればよい。
なお、質疑又は討論の通告者がいない場合は、質疑又は討論の省略の動議又は議長の省略宣告によるのではなく、単に通告者がいないゆえに質疑又は討論を行わないことを議長が宣告すればよい。