2017.10.10 政策研究
第13回 新たな予算編成方法と歳入確保策
2 歳入確保策
予算編成に当たっては、いかに歳入を確保するかという点も重要な視点になる。一般的に、歳入確保策としては以下のようなものがある。
(1)地方税等によるもの
これは、自治体独自に税を設定しようとするもので、いくつかの方法がある。
例えば、法定外目的税は、特定の費用に充てるために課される税で、地方税法により税目が法定されておらず、自治体が独自に課す税である。また、超過課税は、地方税法に標準税率の定めのある税目において、標準税率を超える税率で課税するものである。
このような形で、自治体が独自に課税を行う。
(2)受益者負担によるもの
これは、スポーツ施設や文化施設などを利用する住民が支払う使用料について、見直しを図るものである。
例えば、施設にかかる維持管理コストと使用料とを比較し、定期的に見直す。消費税率の引上げがあると、清掃などの維持管理コストも上昇する。また、光熱水費も値上げ等があれば当然維持費が高くなるので、定期的な見直しを行い、歳入を確保しようとする。
(3)債権管理によるもの
これは、税の収納率の向上などが該当する。徴収嘱託員やコールセンターの活用、差押えなどを行い、未収を防ぐ。また、公債権だけでなく、私債権の管理も重要となる。
公債権は、地方税法などの個別の法律を根拠として、住民等に対し債権を持つもの。一方、私債権については、こうした個別の法律を根拠とせず、あくまで契約などの当事者間の合意、つまり自治体と住民などの合意に基づいて発生するもので、自治体としては私法上の債権となる。
(4)財産活用によるもの
これは、広告収入などが該当する。ホームページのバナー広告、ネーミングライツ、施設の壁面広告、印刷物への広告掲載など、様々な方法がある。広告事業には、企業等のニーズなども重要なポイントとなる。
また、広告事業には、広告を掲出することにより歳入とするだけでなく、広告入り印刷物を無料で提供してもらうことによって、歳出を削減するという方法もある。
(5)その他
その他として、事業協賛などがある。イベント実施に当たり、企業から協賛金や記念品を提供してもらう方法などがある。
歳入確保策は、いろいろあるんですね。

そうだね。役所内を歩いていても、広告スペースを設けていたり、デジタルサイネージを設置したりしている場合もあるからね。

うちの市では、玄関マットに広告がありました。

一時期、ネーミングライツも盛んになったけど、不景気によって撤退する企業が出たこともあったね。広告収入も景気に影響するわけだ。

なるほど。でも、各自治体では様々な工夫をしているようですね。

どこの自治体でも歳入確保には必死だからね。

今度、先進都市を視察してきます!

今回のおさらい
1 これまでの財政課主体の予算編成から、新たな予算編成方法の動きがある。枠配分予算編成とは、一会計年度に見込まれる一般財源の予算枠をあらかじめ各部署に配分し、各部署がその範囲内で予算を編成する方式。市民参加型予算編成とは、予算編成の段階から住民の意見を取り入れようとするもの。
2 歳入確保策として、地方税等によるもの、受益者負担によるもの、債権管理によるもの、財産活用によるものなどがある。