2017.08.10 政策研究
第11回 予算編成のプロセス①
3 予算要求と予算査定
(1)予算要求
予算編成方針が示され、予算説明会が終わると、事業課では来年度の予算要求に向けての動きが本格化する。
予算は経費によって、大きく既定経費と政策的経費に分かれるが、予算の見積りに当たっての動きはやや異なる。既定経費とは、すでに予算化されているもので、現行の事業を実施するのに必要な経費をいう。政策的経費とは、新規事業や一時的、臨時的な経費を指す。政策的経費は、既定経費以上に必要性や経費の内容が精査されることになる。
(2)予算査定
各部署から予算見積書が提出され、予算要求が終わると、各部署に対する予算要求についてのヒアリングが実施される。その方法は、自治体によって異なるが、例えば、①首長が各部長に対して行う、②財政課長が各課長に対して行う、③財政課職員が各課の職員に対して行う、というようにいくつかの段階がある。
ヒアリングと同様に、予算査定にもいくつかの段階がある。①財政課の各職員の査定内容を財政課長が査定する、②財政課長の査定内容を財政担当部長が査定する、③財政担当部長の査定内容を副市長が査定する、④副市長の査定内容を首長が査定する。このような段階を経て、予算案が確定する。なお、査定する範囲についてもすべて同じということはない。首長は政策的経費と、既定経費の大きな変更部分のみ査定するということもある。
今回はここまで。続きは次回にしよう。

ずいぶん、いろいろな段取りがあるんですね。

そうだね。査定が終わるまでは大変なんだ。財政課と事業課では、それこそ口角泡を飛ばして議論することもある。

なかなか議員からは、そうした様子は見えませんね。

例えば、事業課は議会からの後押しもあり、予算化に熱心だけど、財政課が首を縦に振らないこともある。だから、でき上がった予算案に必ずしも事業課が満足しているとは限らないわけだ。

でも、予算委員会では「なぜ、この事業を予算化しないんだ!」なんて言われますよね。

そうなんだ。その事業課の課長も、本音では「自分だって予算化を望んだけれど、財政課に予算を切られたんだ」と思っている。でも、「財政課がダメと言いました」とは言えないから、いろいろ理由を述べなければならないから大変だよ。

本音と現実が違って、かわいそうですね。

まあ、みんな役目を持っているからね、そこは演じてもらわないと……。

今回のおさらい
1 当初予算の編成は、自治体全体で取り組むこととなり、様々なプロセスを経る。
2 予算編成に当たっては、議会、財政部門、事業部門の間で様々なやりとりが行われる。
3 予算査定は、財政課職員、財政課長、財政担当部長、副市長、首長など、様々な段階を経て行われる。