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2017.07.25 議会運営

第54回 追加議決事件の限界

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 また地方自治法施行令121条の2では、契約の金額についてはその予定価格の金額が施行令で定める金額を下らないこととする旨の規定もなされている。
 このような規定の状況で議会が監視機能を強化することを目的として、法96条2項の明文で追加議決事件の対象とすることができないものが明文化されている。すなわち、法定受託事務に係るもので国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものは除かれるとされている。
 そのため、明文で禁止していないものは追加議決事件の対象とすることが可能であると考えられなくもないが、原則として、①法令が明瞭に長その他の執行機関に属する権限として規定している事項、②事柄の性質上当然に長その他の執行機関の権限と解さざるを得ない事項については、議会の権限は及ばないため法96条2項を活用することはできない。
 なお、行政実例昭和38年12月23日においても、条例制定に当たり地方自治法施行令121条の2の規定による契約の種類を変更し、又は金額を下回ることはできないとされている。

○本条の種類、金額の定め方(行政実例昭和38.12.23)
問 地方自治法施行令第121条の2で地方自治法第96条第1項第5号及び同項第7号(現行法では第8号)に規定する法令で定める基準についての種類、金額をそれぞれ示しているが、条例制定に当り、これ等の種類を増し、又金額を下廻ることとして差支えないか。
答 地方自治法施行令第121条の2の規定による契約又は財産の取得又は処分の種類を変更し、又は金額を下廻ることはできない。

 なぜ契約についてはこのような制約を設ける必要があったかといえば、契約はそもそも執行権限に属する事項であり、議会の議決すべき権限の範疇(はんちゅう)に入るものではないと考えられていたからである。それゆえ、国会においては議決事件に含まれていない。
 しかし地方公共団体においては、契約は財政に多大な影響を及ぼすおそれがあることから、住民に最も身近で代表である地方議会に一定の契約についての議決権限を付与することにより、地方公共団体における健全な財政運営が行われることを期待したものであると考えられる。
 その特例たる契約の議決事項に、さらに特例的にその種類や金額を施行令で定める事項を超えるものまで認めることは、法の趣旨に反することであるといえる。
 よって、法96条2項を活用して施行令で定める契約の種類や契約金額を下回る事項を条例で規定することはできないといえる。

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