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2017.07.10 政策研究

第2回 百条調査権の課題

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2 百条委員会の花形である証人尋問の留意点

 任意の調査あるいは地方自治法98条の検閲・検査も並行付与されてこれを行使しても、事案が解明されないときは、強制的に証言をさせる証人尋問の手続をとる――前回は、このように締めくくりました。前回の冒頭のように鮮やかな尋問、証人の手がぶるぶる震えたり、答えに窮し、脂汗をかいている様子など、功罪はあるものの、証人尋問こそ百条調査の花形といえましょう。
 しかし、多くの時間と費用を投じて尋問をしてみても、結果的に、事実の解明が奏功しないということもあります。実務上、留意すべき事項につき、以下解説しましょう。

(1)絨毯(じゅうたん)爆撃のような証人尋問
 百条調査では、しばしば多数の者を証人として尋問を行う事例が見受けられます。証人が多いから駄目ということではありませんが、真実に最も近い者に対して尋問するのが適切です。例えば、前掲の事例1では、市の人事をつかさどる人事ラインの責任者、当該人物、市長を調べれば足りるでしょう。さらに、当該人物が在籍した部の部長や直属の上司を尋問しても多くを期待できない場合に、必要があれば、参考人として招致して説明を聞けば足りるでしょう。

(2)尋問では事実を聞く
 百条調査で見受けられる失敗事例として、自治体の職員である証人に対し「すべきではなかったのか。どうしてしなかったのか」と問責することが挙げられます。問責型の尋問をするならば、証人は「うかつでした。今後、気をつけます」と証言して終わりです。前掲の事例2でいえば、「部下に違法建築物の現地確認をさせたか」、「報告を受けた後、部下にどのように指示したか」、「指示された事項の経過報告をさせたか」、「数か月にわたって違法状態の是正を発令しないまま、建物の使用が終了したという事例が、過去1年の間にあったのか」等、事実を畳みかけて尋ねるべきでしょう。

(3)民事訴訟法の準用
 百条委員会における証人尋問の手続ルール等について、地方自治法100条2項で次のように定められています

2 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。

 「民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定」には、民事訴訟規則115条に定める尋問ルールが含まれ、百条調査における尋問は、この尋問ルールに従うべしということが規定されているのです。
 これを一覧表にまとめてみました(前記(2)と一部重複します)。

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