2017.07.10 政策研究
第10回 7つの予算原則
4 予算統一の原則
予算統一の原則とは、予算を誰にでも分かりやすいものとするため、歳入・歳出の分類を統一的、系統的に調製することをいう。具体的には、この原則に従い、款・項・目・節の予算科目及びその様式が決められるとともに、予算書、予算説明書の様式が定められている。
なお、予算書とは議決に付する予算議案のことをいい、一般会計でいえば自治法215条に定める予算の内容(歳入歳出予算、継続費、繰越明許費、債務負担行為、地方債、一時借入金、歳出予算の各項の経費の金額の流用)を指す。
また、予算説明書とは、予算を議会に提出するときに、併せて提出が義務付けられている「予算に関する説明書」(自治法211条2項)のことをいう。
5 予算事前議決の原則
(1)予算事前議決の原則とは
予算事前議決の原則とは、当該年度開始前までに、議会の議決を得なければならない原則のことをいう。予算は自治体の経費の見積りなので、その年度が始まる前に住民の代表である議会の事前関与として議決を経ておくことが必要であるという原則である。
自治法211条にこの原則を規定しており、都道府県及び政令指定都市は30日前、その他の市及び町村は20日前までに予算を議会に提出し、議決を受けるものとされている。
なお、予算が議会に提出されると、議長は本会議に上程する。当初予算を審議する際には、特別委員会が設置され、そこで集中的に審議されるのが一般的である。
(2)予算事前議決の原則の例外
予算事前議決の原則の例外として、首長の原案執行権、首長による専決処分、特別会計における弾力条項がある。
6 会計年度独立の原則
(1)会計年度独立の原則とは
会計年度独立の原則とは、各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもって充てなければならないとする原則。言い換えれば、当該年度に支出すべき経費に、他の年度の収入を充てないということである。
会計年度とは、ある一定期間を定め、収支の経理を明確にする期間のこと。その期間内の収入と支出は、この期間内に整理し、他の年度に影響を及ぼすことは避ける必要がある。例えば、今年度の支出を来年度の収入から支出したり、今年度の収入を昨年度の支出に充てたりすれば、収入と支出の対比が不可能となり、財政が混乱してしまう。
このため、自治法208条には、「会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる」(1項)、「各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない」(2項)と規定されている。
(2)会計年度独立の原則の例外
しかし、実態として、この原則には例外がある。これは、そうした例外がないと、かえって浪費してしまったり、非効率であったりするからである。例外として、継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越、過年度収入及び過年度支出、歳計剰余金の繰越、翌年度歳入の繰上充用がある。
7 予算単年度主義の原則
予算単年度主義の原則とは、予算は会計年度ごとに作成し、議会の議決を受けること、また一会計年度の予算はその年度内に執行・完結し、翌年度以降の予算を拘束しないという原則である。
これは、自治法211条1項の「普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない」という規定が根拠になっている。この原則の例外としては、継続費、繰越明許費、債務負担行為などがある。