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2017.06.26 議会改革

『地方議会に関する研究会報告書』について(その24)

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他の意義

 結局、『報告書』では、住民参加の意義付けをすることが充分にできない。そこで、別の意義を追加するしかない。『報告書』によれば、第1に、参加することによって住民の地方政治への関心を高める機能がある、第2に、議員のなり手の確保につながることも期待される、という。というのは、人口減少などにより自治体の行政運営が厳しい局面に直面するときに、住民のコンセンサスを得ながら地域経営を進めることが難しくなるから、住民参加が意義があると指摘されている。
 しかし、第1点は鶏と卵である、地方政治に関心がなければ参加はしない。そして、関心が高くなるべきなのは、単に厳しい局面でコンセンサスを得るため、という為政者側の思惑が前面に出ているわけで、それでは、住民からはそもそも参加するインセンティブがない。どのみち、厳しい行政運営になるのであれば、参加の手間をかけるだけ無駄である。もっといえば、行政の実情を熟知した訳知りの「プロ住民」として、いわば為政者の尖兵(せんぺい)として「アマ住民」を説得する側に動員されるだけである。それならば、参加しない方がよい。
 あえていえば、将来の「プロ住民」になることのみがインセンティブであり、例えば、議員になりたいという野心的な人にとっては、そのステップにはなるだろう。しかし、現在は議員のなり手不足であり、そもそも議員になりたい人は少ないのである。それどころか、なり手のいない議員に誘導するための、いわば「フィッシング」であり、それこそ、住民には参加しないインセンティブになるだけである。つまり、第2点も成り立たないのである。

【つづく】


(1) 『報告書』そのものに忠実に表現すると、「Ⅵ」とローマ数字が裸で記載されており「第Ⅵ章」という表記ではない。しかし、本稿では、単に「Ⅰ」「Ⅱ」……では分かりにくいので、章立てとみなして、「第Ⅰ章」「第Ⅱ章」……と表記する。その下位項目は「1」「2」……であるが、「第1節」「第2節」……と表記する。さらにその下位項目は、(1)①となっている。
(2) そもそも、『報告書』自体が、住民参加の契機を欠いた「私的諮問機関」(審議会もどき)のようなものであって、そのような委員構成に反論をしたら、『報告書』自体の正統性が失われてしまう。

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