2017.06.12 議会改革
第32回 議決事件の追加はどのようなスタンスで行うべきか
回答へのアプローチ
2016(平成28)年4月1日現在の全国の自治体の96条2項の議決事件の一覧は、総務省のウェブサイト上に掲載されている地方自治月報58号から見ることができます。その議決事件を、表のように大きく4つに分けてみました。それぞれの自治体によって、対象となる事項の名称は異なることもありますが、だいたいのイメージはつかめるはずです。
「追加上手になりたい」さんの議会もそうですが、今でも、追加された議決事件が非権力的活動だけという議会があります。確かに、議会が議決することで「自治体挙げて」の祝福や象徴になるのでしょう。しかし、96条2項の趣旨からすると、こうした事項だけに限定するのはもったいないのです。もったいないだけでなく、議会として何となく「腰が引けている感じ」を与えます。回答案のうちCは誤りです。
ただ、主だった行政計画をすべて議会の議決事件にするのは少しやりすぎかもしれません。すべての計画を丹念に調査して審議するという覚悟があるなら話は別ですが、「権限だけほしい」というのでは、行政ばかりでなく住民の理解も得られないでしょう。回答としてはAではなくBを選びたいと思います。
これだけ財政状況などが厳しくなると、総合計画の重要性が高まります。「表紙がきれい!」とか「夢が語られている」だけではなく、実質的に自治体のマスタープランとしての役割を果たすものとしなければなりません。「総合計画に掲載されていない事業などしない!」ぐらいの覚悟で策定してもらいたいものです。総合計画をつくるのは首長ですが、様々な計画の「総本山」であることを考えると、議会が議決事件に加える必要があるでしょう。総合計画が本来の役割を果たしている自治体ならなおさらですし、そうでない自治体でも議決事件に加えることで、総合計画の重みを気づかせる必要があります。まずは、総合計画を議決事件に加えた上で、その自治体において関心の高い(過去の議会審議などで問題となった)計画などを個別に選んで対象に加えるのはどうでしょうか(2)。