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2017.05.12 政策研究

第8回 地方債の役割と種類

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2 地方債の種類

 地方債の分類としては、借入先(貸し手)により分類する方法と発行形式により分類する方法の2つがある。地方債を借入先で分類すると、大きく公的資金と民間等資金に分類でき、発行形式で分類すると、証書借入と証券発行に分類できる。

(1)公的資金と民間等資金
 地方債を発行する、つまり借金をする場合に、どこから借りるかということで分類することができる。この分類は、国内資金(国内から資金調達する)と国外資金(外国から資金調達する)の2つに分類できるが、中心は国内資金となる。
 国内資金は、大きくは公的資金と民間等資金の2つに分類することができる(実際には、もっと細かく分類することができるが、分かりやすくするため、ここではその他の分類については割愛する)。公的資金とは、政府の資金を活用するなど、文字どおり公的な資金であり、民間等資金とは銀行などから借り入れることをいう。
 公的資金には、大きく2つのものがある。1つは財政融資資金で、これは、国が国債を発行して資金を集め、その資金を自治体に貸し付けるものである。この国債のことを財投債といい、財投債は国債の種類の1つである。なお、財政投融資とは、①租税負担によることなく、独立採算で、②財投債(国債)の発行などにより調達した資金を財源として、③政策的な必要性があるものの、民間では対応が困難な長期・固定・低利の資金供給や大規模・超長期プロジェクトの実施を可能とするための投融資活動(資金の融資、出資)である(財務省ホームページより)。つまり、簡単にいえば、自治体が施設建設などを行う際に、国債で集めた資金を活用することが、財政融資資金ということになる。
 公的資金の2つ目は、地方公共団体金融機構資金である。地方公共団体金融機構は、地方公共団体金融機構法という法律に基づき、全自治体の出資を受けて2008(平成20)年に設立された地方共同法人で、自治体のみを対象として資金の貸付けを行っている。
 機構は、地方公共団体金融機構債(地方金融機構債)を発行して、資本市場から資金を調達し、自治体に資金を供給している。自治体から見れば、公的資金を活用できる借入先の1つとなる。
 なお、機構は単に自治体に貸付けを行うだけでなく、自治体で出前講座の実施や、資金調達に関する助言などの実務支援も行っている。
 これら公的資金については、自治体に貸付けを行うといっても、それで収益を上げることが目的ではないので、基本的には長期・低利の資金が安定的に提供されることになる。なお、公共性が高いことから、対象事業にも一定の制約がある。
 一方、民間等資金は公的資金とは性格が異なり、必ずしも低利とは限らない。民間等資金には大きく2つある。1つは市場公募資金といい、債券市場で投資家を募り、資金を調達するものであり、もう1つは銀行等引受資金といい、金融機関などから借り入れるものである。

(2)証書借入と証券発行
 地方債の発行形式には、証書借入と証券発行の2種類がある。証書借入は、自治体が借入先(貸し手)に対し借用証書を渡して借り入れるもので、財政融資資金や機構資金ではこの方法がとられている。
 また、証券発行は、地方債証券を発行し、金融機関などの借入先(貸し手)から資金を借り入れるもので、市場公募資金ではこの方法が用いられている。
 証券発行は、金融機関などの貸し手がその証券を他の投資家に売却するなど、証券が流通することを想定しているが、証書借入の場合はそうしたことを前提としていない。このため、もともとの貸し手が他の人に売却した場合、借り手である自治体に譲渡を認めてもらわないと、買い手は新たな債権者であることを自治体に主張できない。

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