2017.04.25 議員活動
少人数議会と政策サポーター
政策サポーター制度の意義
飯綱町議会では、毎年12月に町民要求を整理して、町長に「予算・政策要望書」を提出し、次年度予算に反映するよう求めている。ほかにも「議会広報モニター制度」、「模擬議会」、「休日・夜間議会」、「町民と議会との懇談会」等に取り組み、「開かれた議会」、「議会への住民参加」による議会の見える化にも努めている。2014(平成26)年から議会広報モニター制度を拡充し、少なくとも一集落から1人がモニターになっている(約50人)。モニターによる提言を議会改革につなげるとともに、議会を知り、そのことで議会の理解者・支援者を増やすことも目指している。政策サポーター制度は、こうした議会改革の一環として導入され運営されてきている。それは、「住民と歩む議会」を創り出し、ともすれば首長の「追認機関」になりがちな議会運営から脱しようとする試みといえる。
政策提言をめぐる政策サポーターの住民と議員との「協働」は、自治体議員に根強い住民参加嫌いの体質を克服していくきっかけとなりうる。概して、自治体議会の議員は、議会審議への住民参加には消極的である。実際に各地区から議員が選出され、その複数の議員が、それぞれ民意を体現しつつ一堂に会して審議するのであるから、わざわざ住民の参加を求める必要はないというのが、その理由である。議員活動として日常的に地区を歩き住民と接し、その声は議会審議に反映させている。それにもかかわらず、住民参加を図れということは、自分たちの存在理由を軽視することに通じると考えやすいのである。住民と協働で政策提言を検討することは、こうした消極的な考え方を克服し、しかも議員たちだけでは見過ごしがちな多くの気づきや着想を手に入れることができる。
この「協働」では、議会側がまず研究・検討すべき政策テーマを選択するから、政策課題の提起をするために議員同士の討論を行わなければならない。これは、専ら執行機関が準備してきた議案をめぐる質疑に限定されがちな議会運営から脱却する契機となるし、住民とともにまとめた政策提言は首長側にとって無視し得ない重みを持つ。もちろん、政策サポーターと議員の協働による政策サポーター会議では、執行機関側が用意・提供する資料・情報が必要であり、それらはあまりに少数の議会事務局では対応できない(飯綱町の職員定数条例によれば、議会事務局職員は、たった2人(事務局長1人、書記1人)である)。
政策サポーター制度には、議会の政策提案機能に対して住民が補完するということだけではなく、少数議会が直面している深刻な問題のひとつ、「議員のなり手不足」への打開策としても期待できるかもしれない。議員と「協働」して政策提言の論議に参加する住民の中から、議会の存在価値を実感し、議員立候補を志す住民が出てくるようになれば、政策サポーター制度は人材養成の効果をもたらすかもしれない。政策サポーター制度は、少人数議会に限られず、市町村議会一般に適用可能な議会機能の充実強化策になりうるかもしれない。それは「住民と歩む議会」の実現である。