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2017.04.10 政策研究

第7回 基金の内容と種類

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3 基金の管理

 「基金の運用から生ずる収益及び基金の管理に要する経費は、それぞれ毎会計年度の歳入歳出予算に計上しなければならない」(自治法241条4項)とされている。
 例えば、基金の利息などは財産収入の財産運用収入として計上される。また、基金の管理に要する経費とは、事務費や人件費を指すとされ、これは基金の額が減少しないための配慮とされている。なお、歳入歳出予算は一般会計・特別会計を問わない。
 定額運用基金は、毎会計年度、運用状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付し、監査委員の意見を付けて、議会に提出しなければならないとされている(自治法241条5項)。これは、運用に伴う収益や経費が基金から直接貸し付けられ、また基金に直接償還されるため、歳入歳出予算には計上されない(=予算書には出てこない)ためである。議会ではこの運用状況を示す書類により審議されることになる。
 なお、基金の管理は長が行うが、基金に属する現金及び有価証券の保管は会計管理者の権限とされている。このため、基金の預金名義は自治体だが、取扱責任者は会計管理者となる。

4 財政調整基金

 財政調整基金とは、年度間の財源を調整して、長期的な視点から財政の健全な運営を図ることを目的とする基金のことである。
 自治体の財政状況は絶えず変化する。不況により税収が落ち込んだり、施設建設により多額の経費が必要になったりと、いろいろな状況が発生する。しかし、こうした状況の変化のたびに、予算規模が毎年度大きく変動していては、安定した財政運営を行うことはできない。
 このため、自治体では財政調整基金を設置し、財源が不足する際には基金を取り崩して活用し、財源に余裕のあるときは積立てを行う。
 地方財政法(以下「地財法」という)では、当該年度に余裕財源があるときには、積立てや地方債の繰上償還の財源に充てることを義務付けている(地財法4条の3第1項)。また、決算上、剰余金を生じた場合には、翌々年度までに当該剰余金のうち2分の1を下らない金額は、積立て又は地方債の繰上償還の財源に充てなければならない(地財法7条1項)とされている。
 こうした積立金については、以下の場合に活用できる(地財法4条の4)。
① 経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額を埋めるための財源に充てるとき。
② 災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収を埋めるための財源に充てるとき。
③ 緊急に実施することが必要となった大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
④ 長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
⑤ 償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てるとき。
 また、基金の運用は、確実な方法によって行い、運用益をすべて積立金に繰り入れる必要がある(地財法4条の3第2項、3項)。なお、財政調整基金の残高は、標準財政規模(一般財源ベースで自治体の標準的な財政規模)の10%が適正ともいわれている。
 予算編成との関係でいえば、当初予算を編成する際には、財政調整基金からの繰入れを計上し、実際に税収増や繰越金の確定に伴い、予定していた繰入れが必要なくなった場合は、補正予算で基金に積立てを行ったりする。

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