2017.03.27 議会運営
第52回 100条調査権について
証人尋問とは、過去の事実や状態について自ら認識した内容を陳述する者に対する事案の調査方法の1つをいう。
証人尋問については、地方自治法100条2項で「民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する」と規定していることから、証人尋問においては民事訴訟法を準用することとなる。
【地方自治法100条】
② 民事訴訟に関する法令の規定中証人の訊問に関する規定は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、前項後段の規定により議会が当該普通地方公共団体の事務に関する調査のため選挙人その他の関係人の証言を請求する場合に、これを準用する。ただし、過料、罰金、拘留又は勾引に関する規定は、この限りでない。
この証人尋問で留意すべき点は、尋問範囲における基準である。
すなわち、証人尋問を行うに当たっては民事訴訟規則115条を準用するため、当該規定に反する尋問をした場合は不適切な尋問となり、場合によっては証人から100条調査委員が訴えられることもありうる。
具体的には、①質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならないこと、②証人を侮辱し、又は困惑させる質問をしてはならないこと、③誘導質問をしてはならないこと、④既にした質問と重複する質問をしてはならないこと、⑤争点に関係のない質問をしてはならないこと、⑥意見の陳述を求める質問をしてはならないこと、⑦証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問をしてはならないことである。
【民事訴訟規則115条】
① 質問は、できる限り、個別的かつ具体的にしなければならない。
② 当事者は、次に掲げる質問をしてはならない。ただし、第2号から第6号までに掲げる質問については、正当な理由がある場合は、この限りでない。
1 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
2 誘導質問
3 既にした質問と重複する質問
4 争点に関係のない質問
5 意見の陳述を求める質問
6 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
③ 裁判長は、質問が前項の規定に違反するものであると認めるときは、申立てにより又は職権で、これを制限することができる。
特に誘導質問は得てして行われやすい。誘導質問とは、質問者が証言内容を暗示し、証人が肯定又は否定の陳述によって答えうる形式をいうが、暗示によって証言内容が操作され、証人自身の認識を陳述するという趣旨が損なわれることが想定される。
100条調査委員としてその使命感に燃え調査に力を注ぐのはいいが、それらはあくまでも法にのっとった適正な手続により行われるべきものである。
以上を十分留意して100条調査権の効果を十分に上げることが望まれる。