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2017.03.10 政策研究

第6回 歳出の目的別分類と性質別分類を押さえよう!

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(2)性質別分類の内容
 性質別分類として、①義務的経費、②投資的経費、③その他経費の3つがある。

① 義務的経費
 義務的経費の人件費、扶助費、公債費は、いずれも支出が義務付けられており、容易に縮減することは困難な経費といえる。人件費は職員の給料等、扶助費は生活保護費や保育園の運営等に要する経費など、公債費は借金の返済などであり、すぐに削減することは困難な性質を持つ。
 こうした義務的経費が増加すると、財政が硬直化し、新たな行政需要に対応することが困難となるので、注意が必要となる。

② 投資的経費
 投資的経費は、普通建設事業費、災害復旧事業費、失業対策事業費に区分される。
 普通建設事業費とは、道路の新設・改良や学校の新築・増改築など公共施設の建設事業のための経費である。建設事業費の中でも災害復旧事業費以外のものがこれに当たるため、“普通”建設事業費と呼ぶ。普通建設事業費は、補助事業(国庫支出金を財源の一部とする)と単独事業(自治体が独自に行う)が中心であるが、このほかに国直轄事業負担金(国が行う事業に対して、自治体が負担金を支出するもの)、受託事業(自治体等からの事業の実施を受託する)などがある。
 災害復旧事業費とは、地震や洪水などにより被害を受けた施設、及び火災により被害を受けた施設の復旧に要する経費である。
 失業対策事業費とは、失業者に臨時的に就職の機会を与えるための事業に要する経費である。昭和24年に制定された緊急失業対策法に基づき、失業者が自立するまでの間、就業の機会を与え生活の安定を図る事業となっている。

③ その他経費
 その他経費としては、以下のようなものがある。
・物件費
 物件費は、賃金(アルバイト賃金等)、旅費、交際費、需用費、役務費、備品購入費、委託料などを指し、いわば消費的(非生産的)経費の総称。
・維持補修費
 公共施設等の効用を維持するための経費。
・補助費等

 公営企業に対する負担金、各種団体への補助金、報償費、寄附金などの経費である。特に補助金は、既得権益化しないように注意が必要となる。

この分類から、いろいろなことが読み取れそうですね。

新議員

そうだね。例えば、目的別でいえば、その自治体はどこの分野に歳出を多く充てているかが分かる。例えば、少子高齢化対策によって、歳出における民生費の割合がここ数年で増加している、などだね。

前財課長

まさに、現在の社会状況が予算にも反映されている、ということになりますね。

新議員

また、性質別でいえば、歳出全体に占める義務的経費の割合が増加していれば、財政が硬直化しつつあって、注意が必要である、などと指摘できる。

前財課長

決算の実績などから、こうした点を読み取れれば、自治体の財政の問題点を指摘できそうです。

新議員

もちろん、単年度だけでなく数年間の実績を見ることも重要だけどね。

前財課長

市の財政構造を読み解くポイントが、少し分かったような気がします!

新議員

少し……だけ?

前財課長

 

今回のおさらい

1 歳出の分類方法には、目的別分類と性質別分類がある。
2 自治体の経費を行政の目的によって分類することを、目的別分類という。目的別分類は、予算科目の款・項・目の区分を基準としている。
3 自治体の経費を経済的性質によって分類することを、性質別分類といい、具体的には「義務的経費」、「投資的経費」、「その他経費」に分類される。

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