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2017.02.10 政策研究

第5回 地方税だけでは住民サービスはできない?~国と地方の税源配分~

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2 地方交付税

 前述のように地方交付税は、全国の自治体が一定水準の行政サービスを提供できるようにするため、財源を調整する制度である。以下、詳しく説明する。

(1)地方交付税とは
 自治体には、行政サービスを提供するための財源が必要である。その根幹となるものは税金(地方税)だが、実態上、税金だけで行政サービスを提供することは困難である。また、税収は地域的な偏りがある。
 このため、税収が多く財政力の強い自治体と、そうでない自治体の財源を調整し、全国の自治体が一定水準の行政サービスを提供できるようにするのが、この地方交付税の制度である。
 具体的には、国税(所得税、酒税、法人税、消費税)の一定の割合と地方法人税全額を原資として、財源の不足する自治体に交付する。この地方交付税の機能としては、①財源保障機能(個々の自治体の必要な財源を保障する)、②財政調整機能(自治体間に偏在する財源の均衡化を図る)、の2つがある。
 なお、この地方交付税は一般財源として交付されるので、使途は指定されない。

(2)地方交付税の種類  地方交付税には、普通交付税と特別交付税の2種類がある。地方交付税の総額の95%を普通交付税とし、財源の不足する団体に交付される。残りの5%は特別交付税として、普通交付税では算定されない災害などの特別な財政需要に対して交付される(比率は平成28年度以降)。
 なお、普通交付税の計算には、基準財政需要額(合理的かつ妥当な水準で行政サービスを行うための財政需要)と基準財政収入額(標準的な状態で見込まれる税収)という考え方が用いられ、一定の方法で算定される。
 なお、基準財政収入額が基準財政需要額を上回る自治体には、普通交付税は交付されない。こうした自治体は「不交付団体」となるが、特別交付税は交付される。

……なるほど。今回の説明を聞くと、地方は十分な財源を確保できていない、ということになりますね。

新議員

地方全体から見れば、国の補塡がなければ、十分なサービスを提供できるだけの財源となっていないことが分かるよね。ただし、それぞれの自治体から見れば、そうともいえない。

前財課長

地方交付税が交付されない自治体とか?

新議員

そう。制度からいえば、十分に財源を確保できているので、地方交付税が交付されないということになるわけだ。

前財課長

しかし、地方交付税などがあるから、全国である程度のサービスが提供できているともいえますね。

新議員

確かにそのとおりだね。それが、地方交付税の趣旨でもあるからね。

前財課長

地方分権といっても、なかなか難しい面もありますね。

新議員

「先立つものは金」とはいいたくないけど……。あっ、そういえば、今月は小遣いがピンチなんだ!

前財課長

今回のおさらい

1 租税の割合は、国税:地方税=3:2となる。
2 しかし、住民へのサービスを提供する観点に立つと、国の歳出と地方の歳出は2:3に逆転する。
3 地方交付税は、全国の自治体が一定水準の行政サービスを提供できるようにするため、財源を調整する制度。

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