2016.11.10 政策研究
第2回 自治体財政の基本を押さえよう②
3 予算科目
予算科目とは、歳入歳出予算の内容を区分するもので、具体的には「款(かん)」、「項(こう)」、「目(もく)」、「節(せつ)」を指す。また、予算科目は、議決科目と執行科目に分類される。
(1)予算科目
予算科目とは、歳入歳出予算の内容を明らかにするための区分である。最も大きい分類が「款」となり、その下が「項」、以下「目」、「節」となる。つまり、予算科目とは「款」、「項」、「目」、「節」のことをいう。
歳入は性質に従い、「款」に大別し、各款を「項」に区分する(自治法216条)。各項は「目」、「節」に区分される(地方自治法施行令(以下「自治令」という)150条1項3号)。
歳出では目的に従い、「款」、「項」に区分される(自治法216条)。さらに、歳入と同様に「目」、「節」に区分する(自治令150条1項3号)。
このように予算科目の基準が示されている理由は、予算の審議や自治体間の比較等のため、統一されていることが望ましいということによる。
自治体の予算説明書等は、とても厚く読みにくいイメージがあるが、そのほとんどは歳入歳出予算がこの区分に従って予算額が書かれたものなのである。簡単にいえば、収入と支出の分類を整理したものにすぎない。
なお、歳入科目は「第1款市税・第1項市民税・第1目個人・第1節現年課税分」のような表記となる。ある市の例では、款だけでも、国庫支出金、繰入金、繰越金など、最後の市債(地方債)まで22款あり、歳入だけでもかなりの分量になる。
次に、歳出は「第2款総務費・第1項総務管理費・第1目一般管理費・第1節報酬」のような表記となる。こちらも先の市の例では、「第1款議会費」から「第13款予備費」まである。
(2)議決科目と執行科目
議決科目とは、議会の議決の対象となる予算科目をいい、「款」・「項」が該当する。執行科目とは、議決の対象とならない予算科目をいい、「目」・「節」が該当する。
このため、議会に提出される「予算書」(通常、議案として添付される)には議決科目のみが掲載され、とても厚い冊子になった「説明書」には執行科目までが掲載されている。「予算書」は地方自治法施行規則14条に、「説明書」は同規則15条の2にその点が規定されている。
また、「款」・「項」については議決されているので、原則として款や項の間で流用(予算残高がマイナスの科目に、予算が余っている科目の予算額を付け替えること)することはできない。ただし必要がある場合のみ、項の流用は認められている(自治法220条2項)。
今日の話をまとめると、一般会計と特別会計は、それぞれ別々のお財布と考えればいいんですね。

そのとおり。メインとなる財布(一般会計)、光熱水費支払専用財布(特別会計)、のような感じだね。ただし、異なるお財布の間でも出し入れが行われることにも注意が必要だよ。

今まで、あまり特別会計は意識してこなかったかも。

確かに一般会計に比べれば、あまり注目されないかもしれないね。でも、どのような歳入(財源)で、そうした事業を行っているのかに注目すれば難しくないんだ。

会計年度と出納整理期間は、簡単にいえば、そのお財布を使う期間のことっていえるかも。

そうだね。家計でも、年間の収支を計算する期間を変更していたら、年度間の比較はできなくなってしまうよね。だから、会計年度や出納整理期間を定めておきましょう、ってことだから、これもそんな難しい話ではないよね。

でも、予算科目は専門用語が多くて、ちょっと……。

単にこれは歳入歳出の分類方法だから、議員さんは言葉を一つひとつ覚える必要はないと思うな。分類方法があるってことを知っておけば、後で十分調べられるからね。

本当に、これをすべて覚えようとしたら、眠ってしまうかも。

まあ、うちの市の予算説明書を1頁から読んでいけば、確実に寝られるよ!

今回のおさらい
1 一般会計とは、自治体の会計の中心をなすもので、行政の基本的な経費を網羅した会計。特別会計とは、一般会計から区分した会計で、特定の事業を行う、法律で定められているなど、特別の必要がある場合に設置する会計。
2 会計年度とは、ある一定期間を定め、収支の経理を明確にする期間のことで、4月1日から翌年の3月31日までのことをいう。会計年度が終了する3月31日の翌日、4月1日から翌月の5月31日を当該年度の出納整理期間という。
3 予算科目とは、歳入歳出予算の内容を区分するもので、「款」、「項」、「目」、「節」を指す。予算科目は、議決科目と執行科目に分類される。