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2016.08.25 議会改革

『地方議会に関する研究会報告書』について(その14)

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之

はじめに

 これまで13回にわたり、総務省に設置された「地方議会に関する研究会」の最終報告書である『地方議会に関する研究会報告書』(以下『報告書』という)を検討した。前回までで、「第Ⅳ章(1) 多様な層の幅広い住民が議員として地方議会に参画するための方策」を論じてきた。今回も引き続き『報告書』に沿って、「第Ⅴ章 地方議会における政党及び選挙制度のあり方」から論じていこう。

会派とは何か

 『報告書』第Ⅴ章は、上記のとおり、政党と選挙制度という2つの項目からなる。そこで、まずは、「第1節 地方議会における政党等のあり方」が論じられている。ここで、唐突かつ微妙に「政党」から「政党等」に議論が拡大している。この「等」とは、基本的には「会派」のことと考えてよいだろう。というのは、「(1)地方議会における政党及び会派の状況」と記述されているからである。
 会派とは、『報告書』では特に定義されていないが、地方自治法でも明確ではない。地方自治法100条において、ここでも唐突に、

⑭ 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
⑮ 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。

と触れられるだけである。こうなると、会派とは単なる「政務活動費受給団体」というように位置付けられているだけである。
 国会法でも会派は必ずしも多用されるわけではないが、

第四十六条 常任委員及び特別委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当て選任する。
② 前項の規定により委員が選任された後、各会派の所属議員数に異動があつたため、委員の各会派割当数を変更する必要があるときは、議長は、第四十二条第一項及び前条第二項の規定にかかわらず、議院運営委員会の議を経て委員を変更することができる。

とあるため、委員会のメンバー選出の際に必要だということが分かる。したがって、委員会のメンバーを差し替えるときにも会派が必要になるので、

第四十二条 常任委員は、会期の始めに議院において選任し、議員の任期中その任にあるものとする。
② 議員は、少なくとも一箇の常任委員となる。ただし、議長、副議長、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣、大臣政務官及び大臣補佐官は、その割り当てられた常任委員を辞することができる。
③ 前項但書の規定により常任委員を辞した者があるときは、その者が属する会派の議員は、その委員を兼ねることができる。

となる。同様に参議院の調査会も両院の委員会と同じようにメンバーを選出しなければならないので、

第五十四条の三 調査会の委員は、議院において選任し、調査会が存続する間、その任にあるものとする。
② 調査会の委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当て選任する。
③ 前項の規定により委員が選任された後、各会派の所属議員数に異動があつたため、委員の各会派割当数を変更する必要があるときは、議長は、第一項の規定にかかわらず、議院運営委員会の議を経て委員を変更することができる。
④ 調査会長は、調査会においてその委員がこれを互選する。

と規定される。

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