2016.08.10 議会改革
第27回 委員外議員は委員会の議決に加わることができるか
回答へのアプローチ
委員外議員の参加の制度はあくまでも委員会での審議の充実のためであって、委員外議員が委員会のメンバーになるわけではありません。許される発言には「質疑」も含まれますが、そこまでで、討論を行うこともできないとされています。討論というのは、議決に加わる(表決権がある)ことを前提に、賛否の意見を表明し、自らとは意見の異なる者に同調を呼びかけるものだからです。こうしたことから、Aは当然、誤りとなります。また、Bも誤りです。議会全体の意思があっても、委員会制度の基本を壊すことはできません。当の委員外議員からは「頭が固い」といわれるかもしれませんが、この3つの中では回答はCしかありません。
実務の輝き
同じような会議規則を持っていても委員外議員の取扱いについてはそれぞれの議会で様々です。申出があれば許可することを原則としている議会もあれば、申出を許可した例がほとんどない議会もあります。また、委員外議員を議会運営委員会など特定の委員会についてだけ認めている議会もあれば、請願の審議の際に紹介者に説明をさせる場合のみ認めるような議会もあります。また、委員外議員に委員と全く同じように質疑を認める議会もあれば、質疑の順番や時間について制限を課す議会もあります。
議会により委員外議員の扱いが異なるのは自然なことです。ただ、会議規則で定めておきながら申出を認めないような取扱いはいただけません。「標準市議会会議規則どおりに定めただけ」というかもしれませんが、そんな言い訳、議会内でも通用しません。定めた以上はその趣旨に従って委員外議員の発言を最大限認めるべきです。
また、発言の許可について、委員会に完全にフリーハンドを持たせることもあまり感心できないやり方です。発言の申出に際しては発言通告書をあらかじめ提出するのが普通ですが、「○○議員の論点はすでに尽くされている」とか「委員外議員の発言の必要性を認めない」などの理由から委員会で認められないこともあります。理由自体はしごくもっともなのですが、表向きの理由はどうあれ、大会派による一部の議員や会派に対する「嫌がらせ」に利用される例もあります。委員外議員の制度は「会派制をとることで割を食った議員が意見をいえる仕組み」として期待されている面もあるのですから、ここに会派の力が持ち込まれては制度の趣旨が生かされなくなります。「これも政治だ」と議員はいうかもしれませんが、住民はそんなレベルの政治は求めていません。
ですから、委員外議員の仕組みを動かすためには、会議規則を補う形で申合せなどをしておくことがよいでしょう。その際の視点として必要なことは2つです。ひとつは、審議の充実を図るという制度趣旨を踏まえることです。そして、もうひとつが本来の委員の審議権を十分に確保することです。この2つの視点はベクトルの方向性が逆ですから、一定の調整をあらかじめしておく必要があります。「委員外議員の質疑は委員の質疑終了後に行う」などの申合せがされている議会があることも、この点からうなずけるところです。本来の委員の審議権を確保しておくと、反対論も出にくくなります。
提言
さて、ここまで考えて、「委員外議員といっても仲間さん」のお悩みです。委員会や打合せ会では、「誰を参考人招致するか」ということの意見をそれぞれの議員や会派に尋ねることになるでしょう。その場合にも、委員外議員には、それを尋ねるべきではありません。議決に加われない存在だからです。ただ、そうではあっても「参考までに委員外議員にもお尋ねします」と断った上で、発言を求めることはできなくないように思います。委員長を支える議会事務局の知恵と工夫が求められるところといえます。